「生活支援員」という求人を見つけたけれど、介護職とは何が違うのか、給料は同じくらいなのか気になった方は多いと思います。名前は似ていても、根拠となる制度が違うため、給料の仕組みや水準にも独自の特徴があります。

先に、要点をまとめます。

  • 障害福祉サービスの福祉・介護職員(常勤)の平均給与額は327,720円(令和6年9月時点、厚生労働省調査)。生活支援員の多くはこの区分に含まれます
  • 生活支援員には介護福祉士のような必須資格が無いため、無資格・未経験からでも同水準の給与で働き始められる求人が一定数あります
  • 配置される事業所の種類(生活介護・就労継続支援・施設入所支援など)によって、給与の伸び方やキャリアの積み方に違いが出ます

ただし、この平均給与額には一つ注意点があります。これは処遇改善加算を取得している事業所の常勤職員全体の平均であり、生活支援員という職種だけを切り出した統計ではないという点です。この記事の後半で、実際の求人を見るときにどこを確認すればより正確な水準がつかめるかを説明します。

生活支援員の給料はいくら?平均給与額を厚労省データで確認する

厚生労働省の調査によると、障害福祉サービスの福祉・介護職員(常勤の者)の平均給与額は327,720円(令和6年9月時点)です。

この数字は、厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」に基づくもので、福祉・介護職員等処遇改善加算を取得している事業所に在籍する常勤の福祉・介護職員を対象に集計されています。生活支援員は、生活介護・就労継続支援・施設入所支援などの事業所で「福祉・介護職員」として配置されることが多く、この統計の対象に含まれます。

項目令和5年9月令和6年9月差額
基本給等(常勤の者)240,850円253,710円+12,860円
平均給与額(基本給等+一時金)307,750円327,720円+19,970円

※「基本給等」は基本給(月額)に、通勤手当・扶養手当・超過労働給与額等を除いた毎月決まって支払われる手当を加えた金額です。「平均給与額」はそこにさらに一時金(4〜9月支給額の1/6、賞与等含む)を加えた金額です。

ここで押さえておきたいのは、この統計は「福祉・介護職員」という区分の平均であり、生活支援員だけを単独で集計した数字ではないという点です。同じ福祉・介護職員の区分には、生活支援員のほか、施設によっては「支援員」「介護員」「生活指導員」といった名称の職種も含まれます。生活支援員の仕事内容や配置される事業所の種類については、生活支援員の仕事内容とは|介護職との違い・資格要件・配置基準を解説で詳しく整理していますので、まず職種の全体像を確認したい方はあわせてご覧ください。

前年(令和5年9月)と比べると、平均給与額は19,970円増えています。福祉・介護職員等処遇改善加算の引き上げが主な要因で、令和6年度は69.0%の事業所が「ベースアップ等により対応」、50.6%が「賞与等の引き上げまたは新設により対応」と回答しています。求人票の給与欄を見るときは、この処遇改善加算がどう配分されているかによって、同じ「福祉・介護職員」でも施設ごとに差が出る点を意識しておくとよいでしょう。

生活支援員と介護職(介護福祉士等)は給料が違う?比較してわかること

生活支援員と高齢者介護の介護職員は、平均給与額そのものは大きく変わりませんが、資格による給与の伸び方に違いがあります。

厚生労働省の別の調査「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職員(月給・常勤)の平均給与額は338,200円(令和6年9月時点)で、生活支援員が多く含まれる障害福祉サービスの福祉・介護職員(327,720円)と比べると、1万円程度の差にとどまります。両者の水準は近く、「障害福祉分野だから給料が低い」と単純には言えません。

比較項目生活支援員(障害福祉サービス)介護職員(高齢者介護)
平均給与額(常勤・令和6年9月)327,720円338,200円
必須資格なし(無資格・未経験から就労可能)なし(ただし介護福祉士等の資格で給与差が出やすい)
資格による給与の伸びサービス管理責任者等の役職・資格でキャリアアップ介護福祉士取得で月収が上がる傾向が明確
主な勤務先生活介護・就労継続支援・施設入所支援等特養・老健・訪問介護・デイサービス等

大きな違いが出やすいのは、資格取得後の伸びしろです。高齢者介護の分野では、介護福祉士の年収はいくら?月給平均約35万円の内訳と経験年数別の目安で解説しているとおり、国家資格である介護福祉士を取得すると月収が明確に上がる仕組みが整っています。一方、生活支援員には対応する国家資格が無いため、給与を上げる道筋は、事業所内で相談支援業務の経験を積んでサービス管理責任者(サビ管)を目指す、勤続年数に応じた昇給を積み重ねる、といった形になりやすい傾向があります。

どちらが自分に合うかは、資格取得を軸にキャリアを積みたいか、無資格から早く働き始めて現場経験を重視したいかによって変わります。障害福祉の現場に関心がある未経験の方にとっては、資格が無くても平均給与額が介護職員と大きく変わらない生活支援員は、選択肢として十分検討に値します。

生活支援員は勤続年数でどれくらい給料が上がる?

同じ厚労省調査(福祉・介護職員全体の集計)では、勤続年数が長くなるほど平均給与額が上がる傾向がはっきり出ています。勤続1年未満との差は10年以上でおよそ8万円です。

勤続年数平均給与額(令和6年9月)
1年(勤続1年〜1年11か月)290,680円
3年(勤続3年〜3年11か月)296,750円
5〜9年324,130円
10年以上373,370円

この数字は生活支援員に限らず福祉・介護職員全体の集計ですが、勤続年数による昇給の傾向を知る目安にはなります。生活支援員は国家資格による給与の伸びが無い分、「同じ事業所で経験を積み、必要に応じてサービス管理責任者等の役職を目指す」という勤続重視のキャリア形成が、給与を上げる現実的な道筋になりやすいといえます。サービス管理責任者になるには、相談支援業務等の実務経験(年数は資格・研修歴により異なる)に加えて、都道府県が実施する研修の受講が必要です。生活支援員として一定期間の実務経験を積むことは、この要件を満たす土台になります。

生活支援員の給料は事業所の種類でどう変わる?

同じ「生活支援員」という職種名でも、配置される事業所の種類によって、給与に反映される加算や勤務時間帯が変わります。

生活支援員が配置される主な事業所は、生活介護事業所・就労継続支援事業所(A型・B型)・障害者支援施設(入所施設)の3つに大きく分かれます。事業所の種類ごとの給与への影響を整理すると、次のようになります。

生活介護・就労継続支援・施設入所支援の3つの事業所種類ごとに、勤務時間帯や加算取得率の傾向を比較する図

  • 生活介護事業所: 日中活動が中心で、福祉・介護職員等処遇改善加算の取得率が94.8%と高水準(全体平均87.0%より高い)。日勤中心で給与水準が安定しやすい傾向があります
  • 就労継続支援A型・B型: 生産活動・作業支援が中心。A型は雇用契約を結ぶ形態のため最低賃金の適用があり、B型より給与水準がやや高めになりやすい傾向があります
  • 障害者支援施設(施設入所支援): 加算取得率97.5%と全事業所種別の中で最も高く、夜間の生活支援も担うため、夜勤手当が加わる分、月々の額面が上がりやすい傾向があります

夜勤の有無は特に給与への影響が大きいポイントです。日中活動のみの生活介護事業所と、入所施設で夜勤を担う生活支援員とでは、同じ職種名でも手取りの水準が変わってきます。求人票を確認する際は、「生活支援員」という職種名だけでなく、事業所の種類(生活介護・就労継続支援・施設入所支援のどれか)と、夜勤の有無・回数を必ずセットで確認することをおすすめします。

無資格・未経験からでも生活支援員として働ける?給料への影響は

生活支援員には必須資格が無いため、無資格・未経験からでも平均給与額に近い水準で働き始められる求人があります。

介護職の多くが将来的に介護福祉士等の資格取得を求められる段階的な仕組みになっているのに対し、生活支援員は資格要件が定められていない職種です。そのため、求人票に「資格不問」「未経験歓迎」と書かれているケースが目立ちます。

もっとも、無資格・未経験だからといって給与が一律に低いわけではありません。前述のとおり、福祉・介護職員全体の平均給与額には資格の有無にかかわらず処遇改善加算が反映されるため、資格を持たない職員でも一定の水準は確保されやすい構造になっています。ただし、勤続年数による昇給の伸び方や、将来的にサービス管理責任者を目指す際の実務経験要件など、キャリアを積む上で資格や研修の受講が有利に働く場面はあります。

未経験から生活支援員を目指す場合につまずきやすいのは、「資格不問」という言葉だけを見て、業務の中身を確認しないまま応募してしまうことです。生活支援員の仕事は身体介護に近い支援だけでなく、生産活動・創作活動の企画や、利用者ごとの個別支援計画に沿った関わり方の工夫など、幅の広い業務を含みます。求人票の職種名だけで判断せず、実際の1日の流れや、身体介護と生産活動支援のどちらの比重が大きいのかを、面接や求人票の募集要項で具体的に確認しておくと、入職後のギャップを減らしやすくなります。

生活支援員の雇用形態別の給料の違いは?

常勤(正社員)と非常勤(パート・アルバイト)では、月々の給与額に加えて、賞与や昇給の有無にも差が出ます。

同じ令和6年度の調査では、常勤と非常勤で給与の集計方法が分かれており、単純比較はできませんが、一般的な傾向として次のような違いがあります。

雇用形態給与の傾向賞与・昇給
常勤(正社員)月給制。基本給に加え各種手当・一時金が支給される賞与あり(年2回程度が一般的)、勤続年数に応じた昇給あり
非常勤(パート・アルバイト)時給制または日給制が中心賞与・昇給は事業所により異なる。無い場合も多い

雇用形態を選ぶ際は、月々の手取り額だけでなく、賞与・昇給・社会保険の加入条件(勤務時間による加入義務の有無)まで含めて比較することが大切です。正社員・パートそれぞれの違いをより詳しく知りたい場合は、介護職の雇用形態を比較:正社員・契約社員・パートの給与・待遇・福利厚生で整理していますので、あわせてご覧ください(高齢者介護の記事ですが、雇用形態ごとの給与・待遇の考え方は障害福祉サービスの現場にもほぼそのまま当てはまります)。

ありがちなつまずき方と、避け方

生活支援員の求人を比較するときによくあるつまずきが、「月給の額面だけを見て、処遇改善加算がどこまで反映されているかを確認しない」ケースです。福祉・介護職員等処遇改善加算は事業所ごとに取得状況や配分方法が異なり、加算(I)を取得している事業所と、加算を取得していない事業所とでは、同じ「生活支援員」という職種名でも実際の手取りに差が出ることがあります。

避け方としては、求人票や面接の場で「処遇改善加算を取得しているか」「加算分がどのように毎月の給与に反映されるか(月々の手当として配分されるのか、賞与に上乗せされるのか)」を具体的に確認することが有効です。加算の仕組みそのものについては、処遇改善加算が2026年6月に拡充。介護の給料は求人票のどこを見ればわかる?で解説していますので、求人票の給与欄を見比べる前に一読しておくと、加算の反映状況を質問しやすくなります。

もう一つ見落としやすいのが、「生活支援員」という職種名だけで事業所の種類を判断してしまうことです。前述のとおり、生活介護・就労継続支援・施設入所支援では加算取得率や夜勤の有無が異なり、給与の伸び方にも差が出ます。求人票の職種名だけでなく、どのサービス種別の事業所かをあわせて確認する習慣をつけておくと、給与水準の見誤りを防ぎやすくなります。

さらに、複数の求人を比較する際に、「平均給与額」と「基本給」を混同してしまうつまずきもよく見られます。この記事で紹介した327,720円は一時金(賞与相当分)を含んだ平均給与額であり、求人票の「月給」欄に書かれている金額は、多くの場合そこから一時金を除いた基本給等(253,710円前後)に近い数字です。年収ベースの数字を月々の手取りの目安にそのまま当てはめてしまうと、「求人票の月給が思ったより低い」と感じることがあります。求人票を比較するときは、月給欄の金額が「賞与込みか、賞与別か」を募集要項の記載や面接で確認しておくと、実際の手取りイメージとのズレを防げます。

この記事で持ち帰れること

ここまで読んでいただいたことで、次の3点が判断できるようになったはずです。

  • 生活支援員が多く含まれる福祉・介護職員の平均給与額(327,720円、令和6年9月時点)と、高齢者介護の介護職員との水準差
  • 生活介護・就労継続支援・施設入所支援という事業所の種類によって、給与や夜勤手当の反映のされ方が変わること
  • 求人票の月給欄だけでなく、処遇改善加算の配分状況と事業所の種類を確認することが、給与水準を正確に見極める近道だということ

もし今、気になっている生活支援員の求人票が手元にあるなら、まずは募集要項の「サービス種類」の欄を確認してみてください。生活介護・就労継続支援A型・B型・施設入所支援のどれに該当するかが分かるだけで、その求人の給与や勤務時間帯の傾向がおおまかにつかめます。

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