基準上は、宿泊利用者がいる場合、時間帯を通じて夜勤職員1名以上・宿直職員1名以上の配置が必要とされています(宿泊利用者がいない場合は置かないことができます)。基準は最低限の人数であり、実際の配置人数は事業所によって異なるため、求人票や面談で確認することをおすすめします(出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 資料2/令和5年6月28日)。
小規模多機能型居宅介護で働く仕事
- 作成日
- 2026年7月7日
- 最終更新日
- 2026年7月8日
小規模多機能型居宅介護(通い・訪問・泊まりを一体提供)の仕事内容と、厚生労働省基準にもとづく人員配置、少人数体制での夜勤・宿直の実態、求人を見るときに確認したいポイントを具体的に解説します。
1小規模多機能型居宅介護とは?「通い」「訪問」「泊まり」を1つの事業所で提供するサービス
小規模多機能型居宅介護は、平成18年(2006年)4月の介護保険法改正で創設された「地域密着型サービス」の一つです。厚生労働省の資料によると、利用者(要介護者・要支援者)の心身の状況や置かれている環境に応じて、利用者の選択に基づき、居宅に訪問し、または拠点に通わせ、もしくは拠点に短期間宿泊させ、入浴・排せつ・食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事援助や機能訓練を行うサービスとされています(出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 資料2「小規模多機能型居宅介護」/令和5年6月28日)。
名前のとおり「小規模」(利用者の登録定員に上限がある)かつ「多機能」(通い・訪問・泊まりの3機能を1つの事業所が担う)という特徴を持ちます。中心となるのは「通い」サービスで、利用者の様態や希望に応じて随時「訪問」や「泊まり」を組み合わせることで、要介護度が中重度になっても住み慣れた地域・自宅での生活を継続できるよう支援する、という制度趣旨で創設されました。
運営の面では、地域密着型サービスに位置づけられているため、事業所の所在する市区町村の住民が利用対象の中心となり、運営推進会議(利用者・家族・地域住民・市町村職員・地域包括支援センター職員などが概ね2か月に1回以上集まり、活動状況等を協議・報告・評価する会議)の設置が義務づけられています。地域に開かれた運営を行いながら、サービスの質を確保する仕組みが制度に組み込まれている点も特徴です。
職員として働く場合、この「地域密着」「多機能」という制度趣旨が、そのまま日々の仕事の性格を決めます。次節以降で、具体的な人員体制と仕事内容を見ていきます。
2人員基準を正確に知る:代表者・管理者・介護職員・看護職員の配置
小規模多機能型居宅介護で働くうえで、まず押さえておきたいのが人員基準です。この基準は「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」(厚生労働省令)に定められており、厚生労働省の資料でも整理されています(出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 資料2/令和5年6月28日)。
代表者は、認知症の介護従事経験もしくは保健医療・福祉サービスの経営経験があり、かつ「認知症対応型サービス事業開設者研修」を修了した者であることが求められます。
管理者は、3年以上の認知症介護従事経験があり、「認知症対応型サービス事業管理者研修」を修了した常勤・専従の者でなければなりません。管理職を目指す場合、単に介護経験が長いだけでなく、この2つの研修修了が要件になる点は押さえておきたいところです。
介護職員・看護職員の配置は、日中と夜間で基準が分かれています。日中の「通い」サービスは常勤換算方法で3対1以上(利用者3人につき職員1人以上に相当する人員配置)、日中の「訪問」サービスは常勤換算方法で1以上の配置が必要です。看護職員は、小規模多機能型居宅介護従業者のうち1名以上の配置が求められます。
夜間は、宿泊利用者がいる場合、時間帯を通じて夜勤職員1名以上、宿直職員1名以上の配置が必要です(宿泊利用者がいない場合は置かないことができます)。また、随時の訪問サービスに支障がない体制が整っていれば、宿直職員は必ずしも事業所内に宿直する必要はないとされています。
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修を修了した者を1名以上配置することが必要です。
このように、通いを中心にしながら訪問・夜間対応まで少人数の職員でカバーする体制が制度上組み込まれているのが、小規模多機能型居宅介護の人員配置の特徴です。
3定員の仕組みも知っておく:登録定員29人・通い・泊まりの上限
人員基準とあわせて、事業所の規模を決める「定員」の仕組みも理解しておくと、働くイメージがつかみやすくなります。厚生労働省の資料によれば、1つの事業所(本体事業所)の登録定員は29人以下と定められています(出典:同資料)。
「通い」サービスの利用定員は、登録定員の2分の1から15名の範囲内が基本ですが、一定の要件(居間及び食堂を合計した面積が利用者の処遇に支障がないと認められる充分な広さで確保されている等)を満たす場合は最大18名まで拡大できるとされています。「泊まり」サービスの利用定員は、通いの利用定員の3分の1から9名の範囲内です。
また、本体事業所に対して、一定の要件(事業開始から1年以上の実績があること等)を満たせば「サテライト型事業所」を最大2か所まで併設できる仕組みもあります。サテライト型事業所は本体事業所からおおむね20分以内の近距離に設置され、代表者・管理者・介護支援専門員・夜間の宿直者について、本体事業所との兼務等により配置を一部省略できる特例が設けられています。サテライト型事業所の登録定員は18人まで、通いの定員は登録定員の2分の1から12名まで、泊まりの定員は通い定員の3分の1から6名までとされています。
この「小規模」の枠組みがあることで、1つの事業所が担当する利用者の総数が絞られ、結果として職員一人ひとりが顔なじみの利用者と継続的に関わりやすい体制になっています。逆に言えば、利用者数の絶対数が少ないぶん、職員一人が担う役割の幅(通い・訪問・泊まりを横断する)は、大規模施設に比べて広くなりやすい仕組みだといえます。
41人の職員が「通い・訪問・泊まり」を横断する働き方
小規模多機能型居宅介護で働くうえで、他のサービス形態と最も違う点は、「同じ職員が、同じ利用者に対して、通い・訪問・泊まりの複数の場面で関わる」という働き方です。厚生労働省の資料でも「人員配置は固定せず、柔軟な業務遂行を可能に。どのサービスを利用しても、なじみの職員によるサービスが受けられる」ことが、小規模多機能型居宅介護の特徴として説明されています(出典:同資料)。
特別養護老人ホームやデイサービスのように「通いはこの職員」「訪問はこの職員」と業務ごとに担当が固定される形ではなく、1人の職員がある日は事業所での「通い」の介護を担当し、別の日には利用者の自宅への「訪問」を行い、また別の日には夜間の「泊まり」対応にあたる、という形でシフトが組まれるのが一般的です。
この働き方には両面があります。良い面としては、利用者の生活状況を自宅・事業所・夜間という複数の場面から継続的に把握できるため、利用者の小さな変化(体調の変化や生活リズムの乱れなど)に気づきやすく、顔なじみの関係性の中でケアの質を高めやすいことが挙げられます。一方で、業務の幅が広い分、通いの介護技術だけでなく、訪問時の1人での判断力、夜間の少人数体制での対応力など、複数の場面に対応するスキルが求められる働き方でもあります。
求人票で「小規模多機能」という記載を見た場合、「通い専属」「訪問専属」という求人ではなく、基本的には複数の業務を横断する働き方が前提になっていることを念頭に置いて確認するとよいでしょう。実際にどこまでの業務を1人が担うかは事業所の運用によって幅があるため、面談等で具体的な業務範囲を確認することをおすすめします。
5夜勤・宿直の実際:少人数配置での夜間対応
小規模多機能型居宅介護の夜間体制は、前述のとおり宿泊利用者がいる場合、夜勤職員1名以上・宿直職員1名以上の配置が基準です。特別養護老人ホームなど大規模施設と比べると、夜間に配置される職員数そのものは少人数になりやすい体制です。
この少人数体制のもとで、夜勤・宿直の職員は「泊まり」利用者への対応に加えて、随時発生しうる「訪問」対応(利用者の自宅からの緊急連絡や、夜間の巡回訪問など)も担うことがあります。基準上は「随時の訪問サービスに支障がない体制が整備されている場合、必ずしも事業所内で宿直する必要はない」とされており、事業所によっては宿直者が携帯電話等で待機し、必要に応じて利用者宅へ駆けつける運用を取っているケースもあります。
このため、小規模多機能型居宅介護の夜勤・宿直は、「泊まりの利用者を見守りながら、地域の利用者からの緊急連絡にも備える」という、対応範囲の広さが特徴です。大規模施設の夜勤のように、フロア内の巡回・見守りに専念する形とは異なり、施設内と地域(利用者宅)の両方に注意を向ける必要がある点は、求人を検討するうえで理解しておきたいポイントです。
求人票を確認する際は、夜勤・宿直の配置人数(基準どおり1名ずつか、それ以上の手厚い配置か)、宿直時に事業所内に留まる運用か外部待機を含む運用か、緊急時の訪問対応が発生した場合のバックアップ体制(オンコールで管理者や他の職員に連絡できるか等)を確認すると、実際の夜間業務の負荷感をイメージしやすくなります。
6多職種連携と地域との関わり方
小規模多機能型居宅介護は、登録定員29人以下という小さな単位で運営されるため、職員間・多職種間の距離が近いことも特徴です。事業所内では、介護職員・看護職員・介護支援専門員(ケアマネジャー)が同じ事業所に所属し、日々の情報共有を通じて利用者一人ひとりのケアプランを柔軟に見直していく体制が組まれます。通い・訪問・泊まりの利用状況に応じて、利用者の状態変化をケアマネジャーと介護職員がすぐに共有し、プランに反映できることは、大規模施設にはない小規模多機能ならではの強みです。
事業所外との連携も重要な業務の一部です。利用者のかかりつけ医、訪問看護ステーション、地域包括支援センター、他の居宅介護支援事業所(利用者の元々の担当ケアマネジャーが別事業所に所属している場合の連携先)など、地域の医療・福祉資源との連絡調整が日常的に発生します。
また、地域密着型サービスという制度上の位置づけから、運営推進会議への参加も業務の一部になり得ます。利用者・家族・地域住民・市町村職員・地域包括支援センター職員などが集まるこの会議は、概ね2か月に1回以上の開催が想定されており、介護職員や管理者が事業所の活動状況を報告したり、地域からの意見を聞いたりする場になります。地域とのつながりを重視した運営が制度に組み込まれている点は、小規模多機能型居宅介護で働くことの特徴の一つといえるでしょう。
こうした多職種連携・地域連携の頻度や関わり方は事業所ごとに差があるため、「連携業務にどの程度の時間を割くか」「運営推進会議への参加は職員も対象か」といった点も、働き方をイメージするうえで確認しておくとよい情報です。
7顔なじみの関係性がもたらすやりがいと難しさ
小規模多機能型居宅介護で働く職員から語られることが多いのが、「顔なじみの関係性」によるやりがいです。登録定員が少なく、同じ職員が通い・訪問・泊まりを横断して担当するため、利用者やその家族との関係が長期的・多面的に築かれやすい環境にあります。自宅での様子、事業所での様子、夜間の様子を同じ職員が把握できることは、利用者の変化への気づきやすさにつながり、ケアの質の向上に寄与する側面があります。
一方で、この近い関係性は難しさも伴います。利用者・家族との距離が近い分、要望や相談への対応が個別化・詳細化しやすく、対応の負荷が大きくなる場面もあります。また、小規模な事業所であるがゆえに、職員数自体が少なく、急な欠勤やシフト調整の融通が利きにくいこともあり得ます。特定の職員に業務が偏らないよう、事業所としてどのような体制を組んでいるかは、働くうえで気になるポイントです。
こうした特徴を踏まえると、小規模多機能型居宅介護は「大人数の中で決まった業務を担当する働き方」よりも、「少人数のチームで、利用者の生活全体に継続的に関わる働き方」に関心がある人に向いている環境といえます。逆に、通い・訪問・泊まりを横断する業務の幅広さや、地域との関わりの深さを負担に感じる人にとっては、業務範囲がより限定的な施設形態のほうが働きやすい場合もあるでしょう。どちらが合うかは個人の志向次第であり、求人を比較検討する際の一つの判断材料として捉えるとよいでしょう。
8求人を見るときに確認したいポイント
小規模多機能型居宅介護の求人を検討する際は、制度の仕組みを踏まえたうえで、次のような点を具体的に確認すると、入職後のミスマッチを減らしやすくなります。
1つ目は、業務範囲の実態です。「通い・訪問・泊まりをどの程度の頻度で横断するか」は事業所の運用によって差があります。求人票の記載だけでは分からない場合は、面談等で実際のシフトの組み方を確認するとよいでしょう。
2つ目は、夜勤・宿直の配置人数と運用です。基準どおりの最小人数(夜勤・宿直各1名)での運用か、それより手厚い体制かは事業所差が大きい部分です。宿直時に事業所内に留まるか、外部待機を含む運用かもあわせて確認したいポイントです。
3つ目は、登録定員・利用定員の規模です。登録定員が29人に近い事業所か、より小規模な事業所かによって、1人あたりが担当する利用者数の感覚が変わります。
4つ目は、多職種連携・地域連携の関わり方です。運営推進会議への参加や、地域の医療機関・他事業所との連携業務にどの程度関わるかは、事業所ごとに実態が異なります。
5つ目は、研修・資格取得支援の有無です。管理者を目指す場合は認知症対応型サービス事業管理者研修、ケアマネジャーとして関わる場合は小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修など、この業態特有の研修が必要になる場面があります。事業所が受講費用や勤務調整をどの程度支援しているかも確認しておくと安心です。
本サービスは、こうした条件をもとに求人を検索・比較できる場を提供するものです。特定の求職者に特定の求人をあっせん・ご紹介することはせず、条件に一致する求人を検索・比較いただく情報提供の場としてご利用いただけます。気になる条件に一致する求人を探し、詳細な業務範囲や体制については、応募前に運営元へ直接確認することをおすすめします。
FAQ
このガイドのよくある質問
介護職員として働く場合に必須の国家資格はなく、無資格・未経験から働ける求人もあります。ただし管理者になるには認知症対応型サービス事業管理者研修の修了と3年以上の認知症介護従事経験、ケアマネジャーとして計画作成に関わるには小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修の修了が必要など、役割に応じた研修要件があります。求人票の応募資格欄で必要な資格・経験を確認してください。
本体事業所の登録定員は29人以下と定められています。通いサービスの利用定員は登録定員の2分の1から15名(一定要件を満たす場合は最大18名)、泊まりサービスの利用定員は通いの利用定員の3分の1から9名の範囲とされています(出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 資料2/令和5年6月28日)。
小規模多機能型居宅介護に特化した公的な給与統計は確認できておらず、他の施設形態との比較を断定的に示すことはできません。公益財団法人介護労働安定センターの介護労働実態調査など公的統計はサービス種別を横断したものが中心で、給与水準は事業所の地域・法人規模・処遇改善加算の取得状況によっても差があります。具体的な待遇は求人票の記載内容で個別に確認することをおすすめします。
業務の幅が広がる分、通いの介護技術に加えて訪問時の1人での判断力、夜間の少人数体制での対応力など、複数の場面に対応するスキルが求められる働き方です。一方で同じ利用者と多面的に関わることで顔なじみの関係を築きやすいという特徴もあります。実際にどこまでの業務を1人が担うかは事業所の運用によって差があるため、面談等で具体的な業務範囲を確認することをおすすめします。
Sources
参照・確認する一次情報
制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。
- 厚生労働省 老健局「小規模多機能型居宅介護」(社会保障審議会介護給付費分科会 第218回 資料2)
令和5年6月28日。小規模多機能型居宅介護の定義・沿革・人員基準(代表者・管理者・介護職員/看護職員・夜勤/宿直職員・介護支援専門員の配置基準)・設備基準・登録定員/通い定員/泊まり定員・サテライト型事業所の基準・介護報酬の全体像を確認。2026年7月時点でWebFetchにより内容確認済み。
- きらケア(学研ココファン運営)「小規模多機能型居宅介護の人員基準とは?職員の兼務や違反時のルールを解説」
厚労省基準の解説記事。人員基準・定員基準について厚労省一次資料と照合し、記載内容が一致することをクロスチェックする目的で参照。2026年7月時点でWebFetchにより内容確認済み。
- トリケアトプス「小規模多機能型居宅介護の運営基準をわかりやすく」
厚労省基準の解説記事。人員基準・定員基準について厚労省一次資料と照合し、記載内容が一致することをクロスチェックする目的で参照。2026年7月時点でWebFetchにより内容確認済み。
- 公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査」
令和6年度調査(令和6年10月1日時点、令和7年7月28日公表)が最新であることを確認。ただしサービス種別(小規模多機能型居宅介護)ごとの詳細な賃金データはPDFから確実に抽出できなかったため、本文では職種横断の平均賃金の断定的引用は避けた。2026年7月時点でWebFetchにより存在・時点確認済み。
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