先に結論からお伝えします。介護職員を採用できない一次的なボトルネックは「離職が多いから」ではなく、介護関係職種の有効求人倍率が全国平均3.97倍(全職業計1.16倍)という売り手市場で、そもそも応募・母集団の形成自体が難しいことです(厚生労働省『介護人材確保の現状について』社会保障審議会福祉部会 福祉人材確保専門委員会 資料5、令和7年5月9日、P7。資料出所は厚労省「職業安定業務統計」、令和7年3月時点)。求職者1人に対して約4件の求人がある状態で、これは全産業平均(1人あたり約1.2件)を大きく上回ります。
一方で「離職率が高いから人手不足だ」という通説は、最新の一次データでは必ずしも当てはまりません。訪問介護員・介護職員の2職種計の離職率は12.4%で、2年連続の低下です(公益財団法人介護労働安定センター『令和6年度「介護労働実態調査」結果の概要について』、令和6年度調査・2025年7月28日公表、P6-9)。むしろ同じ調査で採用率は14.3%と3年ぶりに低下(低下幅2.6ポイント)しています。離職は減っているのに採用も減っている――これは「辞める人が多い」のではなく、入ってくる人材プールそのものが縮小していることを示唆します。
つまり採用できない最大級の構造要因は「離職」より「そもそも応募が集まらない・採用が困難」の側にあります。優先順位として、離職対策の前に応募・母集団形成の手当てが先に効く、という相対的な比較として読んでください。
なお本記事は、時点の異なる複数の公的調査を組み合わせています。各数値の年度(有効求人倍率=令和7年3月、離職率・採用率=令和6年度、後述の不足理由86.6%=令和2年度の目安)を見出し近傍で明示していますので、横断して読む際は時点の違いにご留意ください。この記事は採用・事業者向けの親記事(ハブ)として、データで現状を言語化したうえで、求人票・離職防止・採用媒体比較・処遇改善加算の各論は今後公開の子記事につないでいきます。制度や統計は更新されるため、最新の正確な数値は各公式・e-Statでもご確認ください。
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