はい、対象になります。年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者であれば、正社員・パート・管理監督者を問わず、介護を含む全業種・全企業規模で年5日の確実な取得が使用者に義務づけられています(2019年4月施行、労働基準法第39条)。パートなどで所定労働日数が少ない場合は、比例付与により付与日数が10日未満になることもあり、その場合は義務の対象外です。
介護職の有給休暇の確認ポイント
- 作成日
- 2026年7月7日
- 最終更新日
- 2026年7月8日
介護職の年次有給休暇の付与ルールと年5日取得義務、厚生労働省・介護労働安定センターの一次データをもとに、求人票や面接で有給の取りやすさを見極める具体的な確認ポイントをわかりやすく解説します。
1結論:有給休暇は「法律で全業種共通の最低ライン」がある。求人票では『その上』を見る
先に結論からお伝えします。年次有給休暇は、介護職に限らずすべての業種で労働基準法に基づく共通ルールがあります。雇入れの日から6か月継続して勤務し、その間の全労働日の8割以上を出勤していれば、正社員・パート・契約社員を問わず10日の年次有給休暇が付与されます(労働基準法第39条)。さらに2019年4月からは、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(パートや管理監督者を含む)に対して、年5日は事業者が時季を指定するなどして確実に取得させることが義務になりました(厚生労働省『年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説』)。
つまり「有給が取れるかどうか」自体は、制度上はどの介護事業所でも同じ最低ラインが保証されています。「有給の取りやすさ」で職場ごとの差が出るのは、この最低ラインより上の部分、具体的には「言い出しやすい雰囲気か」「人員配置に余裕があり実際に休めるか」「希望日に近い形で取れるか」といった運用面です。この記事では、制度の正確な内容を確認したうえで、求人票や面接で何を見れば運用面の差が見抜けるかを整理します。
なお、介護おしごとさーちは求人情報の掲載・検索の場です。特定の求人をおすすめ・あっせんすることはしておらず、有給の取りやすさは求人票の記載や面接でご自身が確認・比較する情報として位置づけています。この記事はその確認作業をサポートする目的で書いています。
2年次有給休暇の基本ルール:付与日数・比例付与のしくみ
まず、有給休暇がいつ・何日もらえるかという基本を確認します。厚生労働省の解説によると、正社員などフルタイム勤務の場合、継続勤務年数に応じて付与日数が増えていきます。雇入れから6か月で10日、1年6か月で11日、2年6か月で12日、3年6か月で14日、4年6か月で16日、5年6か月で18日、6年6か月以上で20日です。
パートタイムなど所定労働日数が少ない働き方の場合は、所定労働日数に応じて日数が比例配分される「比例付与」という仕組みが使われます。対象になるのは、所定労働時間が週30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下(または年間所定労働日数が216日以下)の人です。たとえば週4日勤務なら6か月時点で7日、週3日勤務なら6か月時点で5日というように、週の勤務日数が少ないほど付与日数も少なくなります。訪問介護の登録ヘルパーなど、勤務日数が変動しやすい働き方をしている方は、この比例付与のルールに当てはまっているかどうかをまず確認しておくとよいでしょう。
また、年次有給休暇の請求権には2年の時効があり、前年度に取得しきれなかった分は翌年度に繰り越されます(繰越分と当年度分の合計が「保有日数」として管理されます)。使用者は、有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額や精皆勤手当・賞与算定での不利益な取扱いをしてはならないともされています。求人票や雇用契約書に記載される「有給休暇:法定通り」という表記は、この基本ルール通りに付与されるという意味です。何か特別な優遇があるわけではなく、あくまで法律上の最低ラインを指している点は押さえておきましょう。
3年5日の取得義務とは何か:使用者の時季指定・計画年休・自己請求の3ルート
2019年4月に労働基準法が改正され、年10日以上の年次有給休暇が付与されるすべての労働者に対し、付与日(基準日)から1年以内に5日を、使用者が確実に取得させることが義務になりました。これは介護を含む全業種・全企業規模に適用されるルールです。
この「年5日」は、次の3つの方法のいずれか(または組み合わせ)で満たせば足ります。
- ①労働者自身の請求・取得:労働者が自分で希望日を申請して取得した分
- ②計画年休(計画的付与制度):労使協定に基づき、あらかじめ取得日を割り振る制度で取得した分(この制度を使う場合、労働者が自由に請求・取得できる有給を最低5日は残す必要があります)
- ③使用者による時季指定:①②で合計5日に届いていない場合に、使用者が労働者の意見を聴取したうえで時季を指定して取得させる分
重要なのは、労働者がすでに5日以上を自分で請求・取得している場合、使用者はそれ以上時季指定をする必要がなく、することもできないという点です。つまり「有給を自分から申請して使えている」職場では、そもそも会社側の時季指定が発動しません。逆に言えば、面接で「有給は基本的に自分の希望日で申請できますか、それとも会社側で取得日を決める運用ですか」と聞いてみると、その職場が①の自己請求中心なのか、②③の計画的な運用に寄っているのかが分かり、実際の取りやすさをイメージしやすくなります。
この義務を守らなかった場合、労働基準法違反として30万円以下の罰金の対象となり得ます(労働基準法第120条)。また使用者は、労働者ごとに時季・日数・基準日を記載した年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存する義務があります。管理簿がきちんと整備されている職場は、有給の取得状況を組織として把握・管理している可能性が高いとも言えます。
4全産業の有給取得率は66.9%、介護を含む「医療,福祉」は68.4%(令和6年)
「実際にどれくらい有給が取れているのか」を一次データで確認します。厚生労働省『令和7年就労条件総合調査の概況』によると、令和6(2024)年の1年間で、労働者1人平均の年次有給休暇付与日数は18.1日、取得日数は12.1日、取得率は66.9%でした。取得率は昭和59年の調査開始以降で最も高い水準です(前年の令和5年は取得率65.3%・付与16.9日・取得11.0日)。
産業別に見ると、介護が含まれる「医療,福祉」の付与日数は17.7日、取得日数は12.1日、取得率は68.4%で、全産業平均をわずかに上回る水準です。参考までに最も取得率が高い産業は「電気・ガス・熱供給・水道業」の75.2%、最も低いのは「宿泊業,飲食サービス業」の50.7%でした。つまり「医療,福祉」は全産業のなかでは中位よりやや上に位置しており、業界全体として突出して有給が取りにくいというデータにはなっていません。
ただし、この数字は企業単位の平均値であり、個々の介護事業所・施設ごとの状況を示すものではありません。同じ「医療,福祉」に分類されていても、人員配置に余裕がある大規模施設と、慢性的な人手不足を抱える小規模事業所とでは、実態が大きく異なることは十分に考えられます。また、この調査の対象は常時労働者30人以上の企業が中心である点にも注意が必要です。全国・平均としての「取りやすさの目安」として押さえつつ、個別の職場の実態は次に説明する求人票・面接での確認が欠かせません。なお、年次有給休暇の計画的付与制度がある企業の割合は40.8%で、「5~6日」の範囲で計画的に付与する企業が71.6%を占めています。
5介護現場のデータで見る「有給の取りやすさ」と職場定着の関係
介護分野に絞ったデータも確認しておきましょう。公益財団法人 介護労働安定センター『令和6年度 介護労働実態調査結果の概要』では、事業所が採用や職場定着・離職防止のために行っている取り組みのうち、「有給休暇等の各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり」の実施割合は74.7%と最も高く、実際に取り組んでいる事業所のうち「職場定着に効果があった」と回答した割合も34.4%で最も高い項目でした。つまり介護業界の現場感覚としても、休暇の取りやすさは職員の定着に直結する要素として広く認識されています。
一方で同じ調査では、労働条件・仕事の負担についての悩み・不安・不満として「人手が足りない」が49.1%で最も高く、次いで「仕事内容のわりに賃金が低い」35.3%、「身体的負担が大きい」24.6%が挙がっています。人手不足は有給の取りやすさにも直結する要素です。制度上は年5日の取得義務があっても、慢性的な人員不足の職場では「休みたくても人がいなくて言い出しにくい」という状況が生まれやすいことは、このデータからも推測できます。
このため、有給の取りやすさを見極めるときは、「有給休暇:法定通り付与」という制度面の記載だけでなく、その職場の人員配置に余裕があるかどうか(例えば求人票の「配置人数」「シフトの組み方」「夜勤体制」などの記載)もあわせて見ておくと、実態に近い判断材料になります。
6求人票でチェックすべきポイント:制度面の記載を具体的に読む
ここまでの制度・データを踏まえて、求人票を見るときに具体的に確認したいポイントを整理します。
- 付与日数・付与時期の記載:「入社6か月後に10日付与」など、法定通りか、それとも入社時から前倒しで付与されるかを確認します。前倒し付与がある場合、募集時点でその旨が明記されているかも見ておきましょう。
- 有給消化率・取得実績の記載有無:一部の求人票では「有給消化率〇%」「年間有給取得日数〇日」といった実績を開示している場合があります。数字の記載がある求人は、事業所として取得状況を把握・公開できている裏づけとも言えます。
- 計画年休・年間休日カレンダーの有無:計画的付与制度を使っている職場では、あらかじめ休暇取得日が決まっているため見通しが立てやすい一方、自分の都合で自由に日を選びたい人には合わない場合もあります。求人票や面接で運用方式を確認しましょう。
- シフト制・人員配置の記載:「常時〇名以上配置」「夜勤〇名体制」など、人員に余裕があることを示す記載は、有給の言い出しやすさにも関係します。
- 時間単位年休・半日単位年休の可否:法律上の義務ではありませんが、労使協定があれば年5日を上限に時間単位で取得できる制度です。通院や子どもの用事などで短時間だけ休みたい場合に対応できるかは、働きやすさに関わるポイントです。
これらは、求人票の記載内容から読み取れる範囲で確認し、不明な点は面接で直接質問するのがもっとも確実です。介護おしごとさーちは条件を検索・比較する場であり、特定の求人の有給取得状況を運営が個別に調査・保証するものではない点はご了承ください。
7面接で聞くときの具体的な質問例
求人票だけでは分からない運用の実態は、面接での質問で補うのが効果的です。角が立ちにくい聞き方の例を挙げます。
- 「有給休暇は、希望日を自分で申請する形が中心ですか? それとも会社側で計画的に取得日を決める運用がありますか?」(自己請求中心か、計画年休中心かを確認)
- 「昨年度、職員の方の有給取得日数は平均どのくらいでしたか?」(具体的な実績数字を聞く。答えられない場合、把握していない可能性もある)
- 「人手が足りないときでも、有給の希望は通りやすい環境ですか?」(人員配置の余裕度を間接的に確認)
- 「体調不良や家庭の事情で急に休みたいときの対応はどうなっていますか?」(急な休みへの対応力を確認)
面接官の回答が具体的な数字や仕組みを伴っているか、それとも「基本的に取れますよ」という曖昧な返答にとどまるかで、その職場が有給取得を組織的に管理しているかどうかがある程度見えてきます。「必ず希望通り休める」といった保証を求人サイト側が断定することはできませんが、こうした質問を通じて求職者ご自身が判断材料を集めることは可能です。 気になる点があれば、面接の場で率直に質問し、納得したうえで応募・入職の判断をすることをおすすめします。
8まとめ:制度の最低ラインを理解したうえで、運用の実態を確認する
年次有給休暇は、勤続6か月で10日という付与の基本ルールと、年10日以上付与される労働者への年5日取得義務という、介護を含む全業種共通の法定ラインがあります。全国データでは、介護を含む「医療,福祉」の有給取得率は68.4%(令和6年・厚労省調査)で、全産業平均の66.9%をやや上回る水準にあります。同時に、介護労働安定センターの調査では、有給等の休暇取得をしやすくする職場づくりが職場定着に最も効果があるとされる一方、人手不足の悩みも根強いという実態も見えてきました。
これらを踏まえると、有給の取りやすさを見極める際は、①制度として法定ラインを満たしているか(求人票の記載を確認)、②取得実績や運用方法(自己請求中心か計画年休か)を具体的に確認できるか、③人員配置に余裕があり実際に休める環境か、という3つの視点で見ていくのが実務的です。
有給休暇は「あるかないか」だけでなく「実際にどう使われているか」を見て初めて、その職場の働きやすさが見えてきます。転職や復職を検討する際は、給与や勤務地の条件と並べて、有給の運用実態も比較材料のひとつに加えてみてください。介護おしごとさーちでは、こうした確認の視点を踏まえて求人を検索・比較していただけます。気になる点は、応募前に運営へのお問い合わせや、面接の場でご自身で確認することをおすすめします。
FAQ
このガイドのよくある質問
雇入れの日から6か月継続勤務し、その間の全労働日の8割以上を出勤すると、正社員・パート問わず原則10日が付与されます。以降は継続勤務年数に応じて増え、1年6か月で11日、3年6か月で14日、6年6か月以上で20日になります。所定労働日数が少ないパート等は、週の所定労働日数に応じた比例付与となり、日数は少なくなります(厚生労働省『年5日の年次有給休暇の確実な取得』解説による)。
厚生労働省『令和7年就労条件総合調査』によると、介護を含む「医療,福祉」分野の令和6年の有給取得率は68.4%で、全産業平均の66.9%をやや上回っています。産業別で最も低いのは宿泊業,飲食サービス業の50.7%で、医療,福祉が突出して低いわけではありません。ただしこれは企業単位の平均値であり、個々の事業所の実態にはばらつきがあるため、求人票の記載や面接での確認が別途必要です。
働き方や条件を確認することは、応募者にとって正当な確認事項であり、失礼にはあたりません。「有給は自己申請が中心か、計画的な取得日があるか」「昨年度の平均取得日数」など具体的に尋ねると、単なる建前ではない実態の回答を得やすくなります。介護おしごとさーちは求人の掲載・検索の場のため、個別の求人の有給取得状況を運営が保証するものではありません。
原則としてありません。厚生労働省の解説によれば、使用者は年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額のほか、精皆勤手当や賞与の算定などで不利益な取扱いをしないようにする必要があるとされています。もし取得を理由に不利益な扱いを受けたと感じた場合は、求人票や雇用契約の内容を確認したうえで、労働基準監督署などの窓口に相談する方法もあります。
Sources
参照・確認する一次情報
制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。
- 厚生労働省『年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説』(PDF)
労働基準法第39条・2019年4月施行の一次根拠。付与日数の原則表(6か月10日〜6年6か月以上20日)、パート等の比例付与表、年5日取得義務の対象者(年10日以上付与される労働者、管理監督者・有期雇用労働者も含む)、時季指定義務の方法(労働者の意見聴取・尊重)、既に5日以上自己取得済みの場合は時季指定不要、計画年休制度、年次有給休暇管理簿の作成・3年間保存義務、罰則(労基法第120条・30万円以下の罰金、第119条・6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)を確認。
- 厚生労働省『令和7(2025)年就労条件総合調査の概況』(PDF)
令和6(2024)年の年次有給休暇の実態データ。労働者1人平均付与日数18.1日・取得日数12.1日・取得率66.9%(昭和59年以降最高)。産業別「医療,福祉」は付与17.7日・取得12.1日・取得率68.4%。最高は電気・ガス・熱供給・水道業75.2%、最低は宿泊業,飲食サービス業50.7%。年次有給休暇の計画的付与制度がある企業割合40.8%(うち計画付与日数5〜6日が71.6%)。調査対象は常用労働者30人以上の民営企業(有効回答3,820件)。
- 公益財団法人 介護労働安定センター『令和6年度 介護労働実態調査結果の概要』(資料提供PDF)
介護分野の職場定着・悩みに関する一次データ。採用・職場定着・離職防止のための取り組みで「有給休暇等の各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり」の実施割合74.7%(最も高い)、実施事業所のうち職場定着に効果があったとする割合34.4%(最も高い項目)。労働条件・仕事の負担についての悩み・不安・不満は「人手が足りない」49.1%が最多。2職種計(訪問介護員・介護職員)の令和6年度離職率12.4%・採用率14.3%。令和7年7月28日資料提供。
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