介護職の求人票で当たり前のように目にする「通勤手当」ですが、実は労働基準法などの法律で支給が義務づけられているものではありません。通勤手当を支給するかどうか、いくら支給するか、上限をいくらに設定するかは、各事業所(法人)が就業規則や賃金規程で任意に定める福利厚生の一種です。そのため、同じ介護職の求人でも「全額支給」「上限あり(月2万円まで等)」「支給なし」と事業所ごとに条件が大きく異なります。
この前提を押さえておくと、求人票の見方が変わります。通勤手当が手厚い求人は、その事業所が「通勤の負担を減らしてでも人材を確保したい」という姿勢の表れの一つと捉えられますし、逆に手当がない・上限が低い求人でも、基本給や他の手当(住宅手当・処遇改善など)で総支給額のバランスを取っている場合があります。通勤手当だけを切り取って良し悪しを判断せず、月々の総支給額の中でどう位置づけられているかを確認する視点が大切です。
介護施設は住宅街や郊外に立地することも多く、自宅からの距離や交通手段(電車・バス・車・自転車・徒歩)が求職者ごとに異なります。だからこそ通勤手当の条件は「自分の通勤スタイルに合っているか」という個別の視点で確認する必要があり、求人票の額面だけでなく、支給条件(上限額・距離の算定方法・車通勤の可否)まで踏み込んで見ることが、入職後の「思ったより手取りが少ない」というギャップを防ぐ第一歩になります。
なお、通勤手当は所得税の計算上「非課税」として扱われる範囲が国税庁により定められています。次の章から、この非課税限度額を中心に、電車・バス通勤とマイカー通勤それぞれの制度上の扱いを整理していきます。
