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介護おしごとさーち

1時給と月給、単純比較できない理由をまず整理する

介護職の求人を見比べていると、「時給1,300円」の求人と「月給25万円」の求人が並んでいて、どちらが条件として良いのか迷うことがあります。結論からいうと、この2つはそのままでは比較できません。時給制と月給制では、賞与・手当の扱い、労働時間の変動リスク、社会保険の適用条件などの前提が異なるためです。

時給制(多くはパート・非常勤)は、働いた時間分だけ賃金が支払われる仕組みです。シフトが減れば収入も減りますが、その分、勤務時間の融通が利きやすい求人が多い傾向があります。一方、月給制(多くは正社員・常勤)は、あらかじめ決まった月額が支払われ、そこに残業や夜勤の手当、賞与(ボーナス)が加わる形が一般的です。月給制は収入が安定しやすい半面、所定労働時間そのものが長め(フルタイム前提)に設定されていることが多く、単純に「月給÷時間=時給」と割り戻しただけでは、賞与や各種手当を含む実態の年収を正しく表せません。

この記事では、まず時給と月給を同じ土俵で比べるための「時間単価への換算方法」を確認し、そのうえで賞与・手当・社会保険といった、時給換算だけでは見えない要素を順番に整理します。最後に、実際に求人票のどこを確認すれば見比べに使えるかまで具体的に落とし込みます。数値を示す際は、必ず出典と時点を明記します。制度や統計は更新されるため、最新の正確な数値は各公式資料でご自身でも確認することをおすすめします。

なお本サービスは、条件に一致する求人を検索・比較できる場を提供するものであり、特定の方に特定の求人をあっせん・ご紹介するものではありません。あくまで比較の視点を整理する情報提供として読み進めてください。

2月給を時給換算する計算式(労基法の考え方)

月給制の求人を時給制と比べるには、まず月給を「1時間あたりの賃金額」に換算する必要があります。この換算方法は、厚生労働省が割増賃金(残業代など)を計算する際の基礎として示している考え方が参考になります。

計算式は次の2段階です(出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」時間外・休日労働と割増賃金)。

  1. 1年間の所定労働日数 × 1日の所定労働時間 ÷ 12 = 1か月あたりの平均所定労働時間
  2. 月給(諸手当を含む合計額)÷ 1か月あたりの平均所定労働時間 = 1時間あたりの賃金額

例えば、年間休日120日・1日の所定労働時間8時間の事業所であれば、(365日−120日)×8時間÷12=約163.3時間が1か月あたりの平均所定労働時間になります。月給25万円(諸手当込み)であれば、250,000円÷163.3時間=約1,531円が時間単価の目安です。

ここで注意したいのは、「月給」に何を含めるかで結果が変わるという点です。割増賃金の計算では、家族手当・通勤手当・住宅手当など労基法で除外が認められている手当は基礎額から外れますが、資格手当や職務手当のように毎月固定で支給される手当は基礎額に含まれるのが一般的です。求人票の「月給25万円」が基本給のみを指すのか、固定の資格手当等を含むのかは、求人票の内訳表示や面接での確認が必要です。この基礎の取り方があいまいなまま時給換算すると、実態より高く(または低く)見積もってしまうことがあるため、換算はあくまで目安として使い、正確な内訳は求人票・雇用契約書で確認する姿勢が大切です。

3月給には賞与・退職金が乗る場合がある。時給換算だけでは見えない部分

前章の計算式は、あくまで「月々の所定労働時間に対する時間単価」を求めるものです。しかし月給制の求人の多くには、この時間単価だけでは表れない収入があります。代表的なのが賞与(ボーナス)です。

公益財団法人 介護労働安定センターの調査によれば、月給制(正社員・常勤が中心)の通常月の平均月収は248,884円/月(賞与・残業代を除く、令和6年度)とされています。これはあくまで「毎月決まって支給される額」であり、この金額に加えて、事業所によっては年1〜2回の賞与が別途支給されます。同じ「月給25万円」の求人でも、賞与が「基本給の2か月分」なのか「業績連動で変動する」のか「賞与制度自体がない」のかによって、年収ベースでは数十万円単位の差が生まれ得ます(出典:介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」)。

一方、時給制のパート・非常勤の求人は、賞与が支給されない、または月給制に比べて金額が小さい設計になっていることが多く見られます。同センターの調査では、パート等の平均時給は1,262円/時(令和6年度)と示されていますが、この数字には賞与相当分は含まれていません。つまり、時給換算した数字同士を単純比較しても、賞与を含む年間の総支給額では順位が逆転することがあるということです。

さらに退職金制度の有無も、月給制・時給制の間で差が出やすい項目です。退職金は法律上の支給義務があるものではなく、各事業所の就業規則・退職金規程による任意の制度のため、「ある/ない」「勤続年数の要件」は求人票や労働条件通知書で個別に確認するほかありません。時給の高さだけで「お得」と判断せず、賞与・退職金まで含めた年単位の総支給額で考えることが、見比べの基本になります。

4時給制の求人で確認すべきポイント(最低賃金とシフトの変動)

時給制の求人を確認する際にまず押さえておきたいのが、地域別最低賃金を下回っていないかという点です。最低賃金は都道府県ごとに毎年改定され、令和7年度の全国加重平均額は1,121円(前年から66円の引き上げ)で、地域ごとの発効日以降に順次適用されています(出典:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」)。求人票に記載された時給が、勤務地の都道府県における最低賃金額を下回っている場合は、労働基準法・最低賃金法上、原則として認められません。ただし、最低賃金額は毎年度改定されるため、正確な最新額は必ず厚生労働省の公式一覧でお住まい・勤務地の都道府県の額を確認してください。この記事では特定の年度の額を断定的な「相場」として扱わず、確認の起点として案内するにとどめます。

次に確認したいのが、シフト・勤務時間の変動リスクです。時給制は、月ごとのシフト量によって収入が変動します。求人票に「月◯◯時間程度」「週◯日〜」のような目安が書かれている場合でも、それが保証された時間数なのか、あくまで目安なのかは事業所によって扱いが異なります。収入の見通しを立てたい場合は、面接や条件確認の場で「最低保証される勤務時間・日数があるか」を確認しておくと、入職後のギャップを減らせます。

また、時給制であっても、深夜(午後10時〜午前5時)の勤務や、法定時間外・法定休日の勤務には割増賃金が発生します(深夜25%以上、時間外25%以上、休日35%以上、月60時間超の時間外は50%以上。出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」)。夜勤専従などで基本の時給が高めに設定されている求人は、この深夜割増分がすでに時給に織り込まれているのか、別途加算されるのかによって実質の単価が変わるため、求人票の「時給」がどの前提の金額かを確認する価値があります。

5月給制の求人で確認すべきポイント(固定残業代とみなし労働)

月給制の求人で特に注意したいのが、固定残業代(みなし残業代)制度の有無です。これは、あらかじめ一定時間分の時間外労働の割増賃金を月給に含めて支給する仕組みで、それ自体は違法ではありませんが、職業安定法にもとづき、求人票には固定残業代を採用している旨と、その時間数・金額を明示することが求められています。

確認したいポイントは次の3つです。1つ目は、固定残業代を含む時間数(例:「みなし残業20時間分を含む」等)と、その金額です。2つ目は、その時間数を超えて時間外労働をした場合に、追加の割増賃金が支給される規定になっているかです。労基法上、固定残業代を上回る時間外労働があれば追加支給が必要であり、これが明記されていない求人票や、超過分の扱いがあいまいな求人には注意が必要です。3つ目は、固定残業代を差し引いた「基本給」自体がいくらなのかです。基本給が低く設定され、固定残業代を厚くすることで月給の見た目を大きくしている場合、賞与の算定基礎(基本給の◯か月分、など)が小さくなることもあるため、賞与への影響も含めて確認する価値があります。

もう一つ確認したいのが、変形労働時間制やシフト制の適用の有無です。介護施設は交代制勤務が多く、1か月単位・1年単位の変形労働時間制を採用している事業所も見られます。変形労働時間制のもとでは、特定の週・日に法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えても、直ちに時間外労働とはならない場合があります。制度の詳細は事業所ごとに異なるため、「月給に何が含まれ、何が別建てで支給されるか」を求人票と労働条件通知書の両方で確認する姿勢が、月給制の求人を見比べる際の基本になります。

6夜勤手当・資格手当など、時給・月給どちらにも共通する加算要素

時給制・月給制のいずれであっても、基本の時給・月給に上乗せされる手当の有無は、実質的な収入を左右する大きな要素です。介護職に多い代表的な手当には、夜勤手当(1回あたり定額、または深夜割増賃金として時給に加算)、資格手当(介護福祉士・実務者研修修了などの保有資格に応じて支給)、処遇改善手当(国の介護職員等処遇改善加算の原資を手当として支給する場合)などがあります。

求人票を見比べる際は、「基本の時給・月給」だけでなく、「どの手当が、どの条件で、いくら付くのか」までセットで確認すると、実態に近い金額感がつかめます。例えば、時給1,200円の求人と時給1,300円の求人を比べる場合、後者に資格手当や夜勤手当が含まれていないなら、資格を持つ人にとっては前者の求人に資格手当が加算された金額のほうが結果的に高くなる、というケースも起こり得ます。逆に、月給制同士の比較でも、夜勤の回数・頻度によって夜勤手当の合計額が変わるため、「月給+夜勤手当◯回分」のような表記がある場合は、想定される夜勤回数も含めて確認したい点です。

なお、こうした手当の名称・金額・支給条件は法律で一律に定められているものではなく、各事業所の賃金規程によって個別に決まります。同じ「夜勤手当」という名称でも金額や算定方法は事業所ごとに異なるため、この記事では特定の金額を相場として断定しません。求人票に金額が明記されていない場合は、面接や条件確認の場で具体的な金額・支給条件を確認することをおすすめします。

また、手当が時給・月給のどちらに組み込まれているかによって、割増賃金の計算結果も変わってきます。前章で触れたとおり、割増賃金の基礎となる賃金には、毎月固定で支給される資格手当・職務手当などは含まれる一方、通勤手当や家族手当のように労基法上除外が認められている手当もあります。「手当込みの時給・月給」なのか「手当は別建て」なのかという表記の違いは、見た目の金額差以上に実質の収入差を生むことがあるため、複数の求人を並べて比較する際は、この内訳の粒度をそろえて見る意識を持つとよいでしょう。

7社会保険の加入条件の違いも、時給・月給を比べるうえで押さえておく

時給と月給を見比べる際、見落とされがちなのが社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入条件です。パート・非常勤で時給制の場合、労働時間・労働日数が一定の基準を下回ると、社会保険の加入対象にならず、国民健康保険・国民年金への加入を自分で行う必要が生じる場合があります。一方、月給制の正社員・常勤は、多くの場合フルタイム勤務のため、事業所の社会保険に加入するのが一般的です。

社会保険に加入する場合、保険料は労使折半で負担され、給与から控除される一方、将来受け取る年金額や、傷病手当金・出産手当金など健康保険の給付を受けられる点はメリットです。時給制で働く場合は、勤務時間・日数によって社会保険の加入対象になるかどうかが変わるため、「額面の時給」だけでなく、「その働き方で社会保険に加入できるのか」も、手取りや将来の保障を含めた見比べのポイントになります。加入条件の詳細な基準は制度改正で変わることがあるため、正確な適用基準は日本年金機構や協会けんぽなど公的機関の最新情報で確認してください。

また、雇用保険についても、週の所定労働時間などの条件によって加入の可否が分かれます。雇用保険に加入していれば、離職後の基本手当(失業給付)などの対象になり得ますが、加入していない働き方では対象外です。時給制の求人を検討する際は、時給の金額だけでなく、想定される週あたりの勤務時間が、こうした社会保険・雇用保険の加入基準に届くかどうかも、あわせて確認しておくと安心です。

さらに、社会保険料は労使折半とはいえ、加入すれば給与から一定額が控除されるため、額面の時給・月給が同じでも、加入の有無によって手取り額の見え方は変わります。求人票の時給・月給を比べるときは、その金額が「社会保険加入込みの条件」なのか「加入基準に満たない働き方」なのかも視野に入れると、より実態に近い比較になります。将来の年金額や傷病手当金といった保障面まで考えると、目先の時給の高さだけで働き方を選ぶのではなく、社会保険の加入条件を含めた総合的な条件で見比べる価値があります。

8求人票で実際に確認すべきチェックリスト

ここまでの整理を踏まえ、時給制・月給制の求人を見比べる際に、求人票で実際に確認したい項目をチェックリストとしてまとめます。

  1. 賃金形態と金額の内訳:時給制か月給制か。月給制の場合、基本給・固定残業代・諸手当がそれぞれいくらで、合計いくらが「月給」として表示されているか。
  1. 固定残業代の有無と超過分の扱い:月給に固定残業代が含まれる場合、対象時間数・金額が明記されているか。超過した時間外労働に追加の割増賃金が支給される規定になっているか。
  1. 賞与・退職金の有無と算定基準:賞与が「年◯回・基本給の◯か月分」のように具体的に示されているか、業績連動で変動するか。退職金制度の有無と勤続年数の要件。
  1. 手当の種類と支給条件:夜勤手当・資格手当・処遇改善手当などが、どの条件でいくら支給されるか。想定される夜勤回数・保有資格によって変わる金額の目安。
  1. 勤務時間・シフトの保証の有無:時給制の場合、月あたりの最低勤務時間・日数が保証されているか、あくまで目安か。
  1. 社会保険・雇用保険の加入条件:想定される勤務時間・日数で、社会保険・雇用保険への加入対象になるか。
  1. 最低賃金を下回っていないか:勤務地の都道府県における最新の地域別最低賃金額と、求人票の時給(または月給を時間換算した額)を照らし合わせる。

これらは求人票の表記だけでは分からないことも多く、気になる点は応募前の問い合わせや面接の場で確認するのが確実です。本サービスは、こうした条件をもとに求人を検索・比較できる場を提供するものであり、特定の方に特定の求人をあっせん・ご紹介するものではありません。条件を一つずつ照らし合わせながら、ご自身の状況に合った求人を探すための情報整理としてご活用ください。

FAQ

このガイドのよくある質問

A.

一概には言えません。時給制は働いた時間分が明確に支払われますが賞与が少ない・ない場合が多く、月給制は収入が安定しやすい一方、固定残業代の有無や賞与の算定基準によって実質額が変わります。時給を単純に月換算・年換算するだけでなく、賞与・手当・社会保険の加入条件まで含めて、年単位の総支給額で比べることをおすすめします。

A.

厚生労働省が割増賃金の計算で示す考え方が参考になります。まず「1年間の所定労働日数×1日の所定労働時間÷12」で1か月あたりの平均所定労働時間を求め、次に「月給(諸手当を含む合計額)÷平均所定労働時間」で時間単価を算出します。ただし月給に何を含めるか(固定残業代や手当の扱い)で結果が変わるため、あくまで目安として使い、内訳は求人票や雇用契約書で確認してください。

A.

厚生労働省が公表する「地域別最低賃金の全国一覧」で、勤務予定の都道府県の最新の最低賃金額(時給)を確認し、求人票の時給と照らし合わせてください。令和7年度の全国加重平均額は1,121円ですが、金額は都道府県ごとに異なり毎年度改定されるため、必ず最新の公式一覧でご自身の勤務地の額を確認することが大切です。

A.

仕組み自体は違法ではありませんが、確認すべき点があります。求人票には固定残業代を採用している旨と対象時間数・金額を明示することが職業安定法上求められています。対象時間数を超える時間外労働には追加の割増賃金が必要なため、超過分の支給規定が明記されているか、また固定残業代を差し引いた基本給がいくらかも、賞与への影響を含めて確認しておくと安心です。

A.

労働時間・労働日数が一定の基準を満たせば加入対象になりますが、基準を下回ると加入対象外となり、国民健康保険・国民年金へのご自身での加入が必要になる場合があります。加入基準は制度改正で変わることがあるため、正確な最新基準は日本年金機構や協会けんぽなど公的機関の情報でご確認ください。時給の金額だけでなく、想定勤務時間が加入基準に届くかも見比べのポイントです。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。

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