必ずしもそうとは限りません。定員に空きがあるか、対象年齢に子どもが該当するか、希望する時間帯(延長・夜間保育を含む)に利用できるかは施設ごとに異なります。共同設置・提携型の施設では預け先が勤務先と別の場所になることもあります。入職時期に間に合うかどうかは求人票だけでは分からないことが多いため、応募前後に施設へ直接確認することをおすすめします。
託児所付き介護職場の働き方
- 作成日
- 2026年7月7日
- 最終更新日
- 2026年7月8日
託児所付き介護施設を支える企業主導型保育事業などの制度の仕組みと、求人票の「託児所あり」表記で入職前に確認すべき対象年齢・時間帯・費用の具体的な確認ポイントを一次情報つきで解説します。
1結論:「託児所あり」は施設ごとに運用がまったく違う。制度の骨格を知ってから求人票を読むと判断を誤りにくい
介護の求人票で目にする「託児所あり」「事業所内保育あり」という表記は、必ずしも同じ内容を指しているわけではありません。同じ言葉でも、施設が自前で保育スペースを設けているケース、複数の事業所が共同で1つの保育施設を運営しているケース、近隣の保育施設と提携して優先枠を確保しているだけのケースなど、運用の実態には幅があります。子育てと介護の仕事を両立したいと考えたとき、「託児所があるかどうか」だけで判断すると、実際に預けられる年齢・時間帯・費用感が想定と違っていた、というギャップが起こりがちです。
この記事では、介護施設が併設する保育の仕組みの背景にある公的な制度(企業主導型保育事業、育児・介護休業法上の両立支援制度)を確認したうえで、「託児所あり」という求人表記を見たときに何を確認すればよいかを整理します。制度の枠組みを知っておくと、求人票に書かれていない部分(対象年齢、利用できる時間帯、保育料、定員に空きがあるか等)を、応募前後にどう質問すればよいかが具体的に見えてきます。
なお、介護施設が保育施設を併設する主な動機は、慢性的な人材不足のなかで子育て中のスタッフに長く働き続けてもらうためです。公益財団法人介護労働安定センターの調査でも、定着に効果的な施策として「有給休暇の取得や勤務日時の柔軟性」が挙げられており(出典:介護労働安定センター「介護労働実態調査」令和6年度調査)、託児所や保育支援も、こうした働きやすさの取り組みの一つと位置づけられます。ただし、施設によって併設保育の有無・規模・費用は大きく異なるため、「託児所付き求人だから安心」と決めつけず、制度の仕組みと個別の運用実態の両方を確認する姿勢が大切です。介護おしごとさーちは求人の掲載・検索という情報提供に徹しており、特定の方に特定の求人をあっせん・ご紹介することはありません。ご自身の希望条件に一致する求人を探すための判断材料として、以下をお役立てください。
2介護施設併設の保育施設はどんな制度でできている?「企業主導型保育事業」の仕組み
現在、企業や法人が従業員向けの保育施設を新設する際の主な受け皿となっているのが、内閣府が2016年度に創設し、現在はこども家庭庁が所管する「企業主導型保育事業」です。この制度は「事業主拠出金を財源として、従業員の多様な働き方に応じた保育を提供する企業等を支援するとともに、待機児童対策に貢献することを目的」としており(出典:こども家庭庁「仕事・子育て両立支援事業(企業主導型保育事業等)」)、介護法人が自法人の職員向けに保育施設を設ける際にもこの制度が使われているケースがあります。
この制度の特徴は、認可保育所と違って柔軟な保育時間を設定できる点です。前述のこども家庭庁の説明によれば、「延長・夜間、土日の保育、短時間・週2日のみの利用も可能」とされており、介護施設のように早番・遅番・夜勤などシフトが不規則になりやすい職場と相性がよい制度設計になっています。複数の法人が共同で1つの施設を設置することも認められており、単独では保育施設を持つ規模ではない中小の介護事業者が、近隣の他法人と共同で保育施設を運営する形も制度上は可能です。
もう一つ押さえておきたいのが「地域枠」です。企業主導型保育事業は、自社の従業員の子ども(従業員枠)だけでなく、「地域住民の子供の受け入れができます」(同出典)という仕組みも備えています。つまり、必ずしも「その介護施設で働く人の子どもしか使えない」というわけではなく、施設によっては地域の子育て世帯にも開放されている場合があります。運営費・整備費についても、認可施設並みの助成が受けられる仕組みが用意されています(同出典)。
なお、以前は厚生労働省の「事業所内保育施設設置・運営等支援助成金」という制度もありましたが、このコースは2016年度以降新規申請を終了しており、現在は企業主導型保育事業に一本化されています。求人票だけでは「どちらの制度に基づく施設か」までは分からないことが多いため、気になる場合は面接や問い合わせの際に確認するとよいでしょう。
3「託児所あり」でも認可外保育施設であることが多い点に注意
介護職を目指すうえで意外と見落とされがちなのが、企業主導型保育事業による保育施設は、児童福祉法上「認可外保育施設」に位置づけられるという点です。「認可外」という言葉から不安を感じる方もいるかもしれませんが、これは自治体の認可保育所とは異なる法的な枠組みで運営されているという意味であり、質が一律に劣るという意味ではありません。
認可外保育施設には、児童福祉法等に基づく「指導監督基準」が定められており、都道府県・政令市等による届出の受理、報告徴収、立入調査の対象になります(出典:東京都福祉局「認可外保育施設に関するQ&A」)。設置者は施設の設置・変更・休止・廃止を届け出る義務があり、調査の結果は自治体の公表サイトなどで確認できる仕組みになっています。また、企業主導型保育事業の保育従事者については、保育士資格を持つ職員の配置割合など、認可外保育施設の一般的な基準よりも手厚い基準が求められているとされます。ただし、この配置基準の具体的な運用や施設ごとの実態までは求人票だけでは分からないため、気になる場合は施設見学や問い合わせの際に確認することをおすすめします。
もう一つ重要なのは、企業主導型保育事業を含む保育の質については、こども家庭庁が設置する「企業主導型保育事業点検・評価委員会」で継続的に議論・点検が行われているという点です。制度創設から年数が経つなかで、指導監査の実効性や保育の質のばらつきが課題として取り上げられることもあります。求職者の立場としては、「企業主導型=安心」と単純化せず、実際にその施設がどのような監査を受けているか、指導検査の結果が公表されているかを、必要であれば自治体の公表情報で確認する視点を持っておくと安心材料になります。
4託児所以外にも使える両立支援制度:短時間勤務・子の看護等休暇の基本
託児所の有無だけでなく、育児・介護休業法に基づく両立支援制度も、子育てをしながら介護の仕事を続けるうえで重要な選択肢です。代表的なものが「短時間勤務等の措置」です。厚生労働省によれば、事業主は「3歳に満たない子を養育する労働者に対して、1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含む短時間勤務制度を講じなければ」ならないとされています(出典:厚生労働省「短時間勤務等の措置」)。業務の性質上短時間勤務の導入が困難な場合は、事業主はフレックスタイム制、時差出勤、育児休業に準ずる措置、保育施設の設置、テレワークなどの代替措置のうち少なくとも1つを設ける義務があります(同出典)。
また、一定要件を満たす雇用保険被保険者が短時間勤務をしながら働く場合、賃金が下がった分の一部を補う「育児時短就業給付金」(短時間勤務中の賃金の10%相当額が支給される仕組み)も用意されています(同出典)。介護の仕事は身体介助を伴う夜勤・早番・遅番のシフトが多く、育児期に日勤中心の短時間勤務へ切り替えられるかどうかは、働き続けられるかを左右する重要な条件です。
さらに、育児・介護休業法は近年改正が重ねられており、子の看護のための休暇制度についても対象となる子の範囲拡大や取得理由の追加などが議論・実施されています。改正の具体的な施行時期や内容は年度によって変わるため、応募を検討している時点の最新の制度内容は、厚生労働省の育児・介護休業法特設ページで確認することをおすすめします。求人票の「託児所あり」という一文だけでなく、「短時間勤務制度の利用実績」「時差出勤・フレックスの有無」まで含めて、子育てとの両立のしやすさを総合的に見る視点を持つとよいでしょう。
5求人票の「託児所あり」表記で必ず確認したい5つのポイント
「託児所あり」という一文だけでは、実際に自分が使えるかどうかは判断できません。応募前後に確認しておきたいポイントを整理します。
①対象年齢と受け入れ人数(定員):企業主導型保育事業は0歳から小学校就学前までを対象とする施設が一般的ですが、実際の受け入れ年齢や定員は施設ごとに異なります。空き状況によってはすぐに預けられない場合もあるため、入職時期に間に合うかを事前に確認しましょう。
②利用できる時間帯とシフトとの整合性:介護施設は早番・遅番・夜勤とシフトが不規則になりやすい職場です。託児所が延長保育や夜間保育に対応しているか、対応していても追加料金が発生するかは、施設によって差があります。ご自身が想定するシフトで実際に預けられる時間帯かどうかを確認することが欠かせません。
③保育料の負担:企業主導型保育事業は運営費の助成を受けられる制度ですが、利用者(従業員)が負担する保育料は施設の設定次第です。「無料」なのか「一部補助」なのか「実費相当」なのか、金額感は求人票だけでは分からないことが多いため、面接や問い合わせで具体的に確認しましょう。
④従業員枠か地域枠か、優先度はどうか:地域枠も設けている施設の場合、従業員の子どもが優先的に入れる枠がどの程度確保されているかは施設によって異なります。
⑤自法人単独運営か、他法人との共同運営・提携か:共同設置・提携型の場合、実際に子どもを預ける場所が勤務先とは別の場所にあることもあります。通勤経路・送迎の負担も含めて確認しておくと、入職後のギャップを避けやすくなります。
6託児所がない施設でも両立は探せる:確認すべき代替の働きやすさ指標
託児所を併設している介護施設は、求人全体からすればまだ限られた存在です。託児所がない施設であっても、子育てとの両立を前提に働ける環境は十分に探すことができます。その際に確認したいのが、託児所という「箱」の有無だけでなく、両立を支える運用面の柔軟性です。
具体的には、短時間勤務制度の運用実績(実際に時短勤務者が在籍しているか)、夜勤の免除・回数調整に応じてもらえるか、急な子どもの発熱等での早退・休暇取得のしやすさ(子の看護等休暇の取得実績)、保育園の送迎時間に配慮したシフト調整の可否といった点です。これらは求人票の「福利厚生」欄や「働き方」欄に書かれていることもありますが、実態としてどの程度機能しているかは、面接で「実際に子育て中の職員は何人くらいいますか」「時短勤務やシフト配慮の実績はありますか」といった質問をしてみることで見えてくる部分です。
また、近隣に企業主導型保育事業の地域枠を持つ施設や、認可保育所の空き状況がある地域かどうかも、託児所併設の有無とは別の重要な要素です。介護施設そのものに保育施設がなくても、勤務地周辺の保育インフラが充実していれば、両立のハードルは下がります。求人票に記載された勤務地情報から、通勤経路上に保育施設があるかを事前に調べておくことも、現実的な準備の一つです。
さらに見落とされがちなのが、育児休業からの復帰実績です。制度として短時間勤務やシフト配慮が用意されていても、実際に育児休業を取得して同じ職場に復帰した職員がどれくらいいるかは、制度の「使いやすさ」を測る現実的な手がかりになります。制度はあるが利用者がほとんどいない、という状態と、実際に複数の職員が制度を利用しながら働き続けている状態とでは、入職後の安心感が大きく異なります。面接や見学の機会があれば、育児休業からの復帰率や、時短勤務・夜勤免除を選んでいる職員の在籍状況について率直に質問してみることをおすすめします。数値として公表している施設は多くありませんが、質問への答え方や具体性からも、両立支援への姿勢がある程度読み取れるはずです。
7施設形態による違い:託児所併設が比較的見られやすい施設・見られにくい施設
託児所・保育支援の有無は、施設の規模や運営法人の体力に左右される傾向があります。一般論として、大規模な社会福祉法人や医療法人が運営する特別養護老人ホーム・介護老人保健施設など、複数の事業所・拠点を抱える法人では、法人単位で保育施設を整備し、傘下の複数施設の職員が利用できる体制を取っているケースが見られます。複数拠点を持つ法人ほど、企業主導型保育事業の「共同設置」の枠組みを活用しやすいという背景もあります。
一方で、小規模な有料老人ホームや訪問介護事業所、開設間もない事業者などでは、自前の保育施設を持つことは資金・スペースの両面でハードルが高く、託児所併設よりも「近隣の保育施設との提携」「シフト配慮」「時短勤務の運用」といった形で両立支援を行っていることが一般的です。施設形態と法人規模は、託児所の有無を予測するうえで一つの目安にはなりますが、あくまで傾向であり、個々の施設の実態は求人票と面接での確認が必要です。
また、訪問介護・訪問看護のように利用者宅を回る働き方の場合、施設併設の託児所という発想自体がそももそ成立しにくく、事業所の事務所に近い保育施設との連携や、直行直帰を前提としたシフトの柔軟さで両立を支えている事業所もあります。デイサービスのように営業時間が日中に限られる施設形態は、そもそも夜間保育の必要性が薄く、託児所の有無よりも「残業の少なさ」「土日休みの取りやすさ」の方が両立のしやすさに直結することもあります。このように、施設形態によって両立支援の中身(託児所か、シフトの柔軟性か、労働時間の短さか)が変わってくるため、託児所の有無だけを基準にせず、その施設形態ならではの両立のしやすさの形を見極めることが大切です。
施設形態ごとの基本的な仕事内容や配置基準の違いについては、親記事の『介護施設の種類と特徴の違い』もあわせてご覧いただくと、託児所の有無だけでなく施設全体の働き方をイメージしやすくなります。子育てとの両立を軸に施設を比較する場合も、まずは施設形態の基礎を押さえたうえで、託児所・両立支援制度の有無を重ねて確認する順番がおすすめです。
8まとめ:託児所の有無は「制度の骨格」と「施設ごとの運用」をセットで確認する
託児所付きの介護職場を探す際は、まず「企業主導型保育事業」や育児・介護休業法上の「短時間勤務等の措置」といった制度の骨格を理解しておくと、求人票に書かれた「託児所あり」という一文の背景が見えやすくなります。企業主導型保育事業は柔軟な保育時間に対応できる一方で認可外保育施設という位置づけであり、指導監督の対象になっているとはいえ、施設ごとの運用実態(対象年齢、時間帯、保育料、定員、共同運営かどうか)には幅があります。
「託児所あり」という表記だけで安心せず、対象年齢・利用時間・保育料・定員状況・従業員枠と地域枠の関係といった具体的な項目を、応募前後の問い合わせや面接で確認する姿勢が、入職後のギャップを防ぐ最も確実な方法です。また、託児所がない施設でも、短時間勤務やシフト配慮の運用実績次第で両立は十分に可能なので、託児所の有無だけにとらわれず、両立支援制度全体を見る視点を持つとよいでしょう。
制度の骨格を整理すると、①企業主導型保育事業は柔軟な保育時間に対応できる認可外保育施設であり、施設ごとに対象年齢・保育料・定員の運用が異なること、②育児・介護休業法の短時間勤務制度・子の看護等休暇は託児所の有無にかかわらず利用できる権利であること、③認可外保育施設であっても指導監督基準に基づく届出・立入調査の対象になっていること、の3点です。これらを踏まえたうえで、求人票に書かれていない部分は遠慮せず質問する、という姿勢が両立できる職場探しの土台になります。
介護おしごとさーちでは、勤務地・施設形態・雇用形態といった条件で求人情報を検索・比較できます。掲載されている求人情報を、子育てとの両立という観点も含めてご自身の条件と照らし合わせながら探していただき、託児所や両立支援制度の具体的な運用については、気になる求人ごとに直接確認することをおすすめします。
FAQ
このガイドのよくある質問
多くの場合、企業主導型保育事業に基づく認可外保育施設です。認可保育所とは法的な枠組みが異なりますが、児童福祉法に基づく指導監督基準の対象となり、都道府県等による届出の受理や立入調査が行われます(出典:東京都福祉局「認可外保育施設に関するQ&A」)。認可外=質が低いという意味ではありませんが、運用実態は施設ごとに確認が必要です。
託児所がなくても両立は可能です。育児・介護休業法に基づく短時間勤務制度や、急な発熱等に対応する休暇制度の運用実績、夜勤免除・シフト配慮の柔軟性を確認することが重要です(出典:厚生労働省「短時間勤務等の措置」)。託児所の有無だけでなく、こうした制度が実際に機能しているか、育児休業から復帰した職員が在籍しているかを面接で質問してみるとよいでしょう。
施設によって大きく異なり、一律の相場を示すことはできません。企業主導型保育事業は運営費・整備費について認可施設並みの助成を受けられる制度ですが、利用者(従業員)が実際に負担する保育料の金額や、無償・一部補助・実費相当のいずれかは施設の設定次第です。具体的な金額は求人票に明記されていないことが多いため、面接や問い合わせの際に確認することをおすすめします。
施設によります。企業主導型保育事業は従業員枠に加えて地域住民の子どもを受け入れる地域枠を設けられる制度ですが、従業員枠の確保数や優先度、実際の空き状況は施設ごとに運用が異なります。地域枠の割合が大きい施設では従業員でも希望通りに入れないこともあり得るため、優先度や定員の実態は応募先の施設に直接確認する必要があります。
Sources
参照・確認する一次情報
制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。
- こども家庭庁「仕事・子育て両立支援事業(企業主導型保育事業等)」
企業主導型保育事業の制度目的、柔軟な保育時間、地域枠、運営費・整備費の助成について記載
- 厚生労働省「短時間勤務等の措置」(育児・介護休業法特設サイト)
3歳未満の子を養育する労働者への短時間勤務制度の義務、代替措置、育児時短就業給付金について記載
- 東京都福祉局「認可外保育施設に関するQ&A」
認可外保育施設の指導監督基準、届出義務、立入調査の仕組みについて記載
- 公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査」令和6年度調査
定着に効果的な施策として勤務日時の柔軟性が挙げられている点の出典。詳細数値はPDF報告書に掲載(本文ではページ情報のみ参照)
- 企業主導型保育事業ポータルサイト(児童育成協会)
施設検索・制度に関する公式ポータル。個別施設の運用確認の参照先として記載
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