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介護おしごとさーち

1結論:制度を使い、職場に伝え、自分の家の介護は「外部の専門職」に相談する

介護の仕事をしている人が、自分の親や家族の介護に直面する——介護職の年齢構成を考えれば、これはとても起こりやすい状況です。そして意外なことに、介護のプロこそ、家族の介護との両立でつまずきやすいという現実があります。「自分はやり方を知っているから」と1人で抱え込み、仕事と家庭の二重の介護で消耗してしまうケースです。

両立の基本方針は3つです。第一に、法律上の制度を知って使うこと。介護休業・介護休暇・勤務時間の短縮等の措置など、育児・介護休業法に基づく仕組みは介護職ももちろん対象です。第二に、職場に早めに伝えること。2025年の法改正で、家族の介護に直面した旨を申し出た労働者に対して、事業主が両立支援制度を個別に周知し意向を確認することが義務づけられました。伝えることが、支援の入口になる制度設計に変わっています。第三に、自分の家族の介護は、地域包括支援センターやケアマネジャーといった外部の専門職に相談すること。プロであるあなた自身が家族のケアマネジメントを1人で担うのではなく、仕事で実践している「チームで支える」原則を、自分の家庭にも適用するのです。

この記事では、制度の全体像、介護休業を「自分で介護する期間」ではなく「体制を整える期間」と捉える考え方、介護職特有の落とし穴、職場との調整、そして転職を考える場合の注意点まで、順に整理します。なお、制度の内容は法改正で変わるため、実際の利用にあたっては厚生労働省の公式情報と勤務先の規程で最新を確認してください。

2使える制度の全体像:介護休業・介護休暇・働き方の調整

家族の介護と仕事の両立を支える3つの支え(法律上の制度、職場との調整、地域の専門職への相談)を整理した図

育児・介護休業法に基づく、家族介護のための主な制度を整理します(2026年7月時点。対象家族の範囲や要件の詳細は厚生労働省の公式情報で確認してください)。

介護休業:要介護状態の対象家族1人につき、通算93日まで、3回を上限に分割して取得できる休業です。休業中の収入については、雇用保険から介護休業給付金が支給される仕組みがあります(支給要件・金額は公式情報とハローワークで確認を)。

介護休暇:年5日(対象家族が2人以上なら年10日)まで、通院の付き添いや手続きなどのために取得できる休暇で、時間単位での取得も認められています。ケアマネジャーとの面談や役所の手続きといった「数時間だけ抜けたい」場面で実用性の高い制度です。

所定労働時間の短縮等の措置:短時間勤務、フレックスタイム、時差出勤、介護費用の助成などのうち、事業主がいずれかの措置を講じることが義務づけられています。どの措置があるかは勤務先の規程によります。

残業・深夜業の制限:所定外労働の制限(残業免除)、時間外労働の制限、深夜業の制限を請求できる仕組みがあります。交代制で働く介護職にとって、夜勤の調整に関わる重要な制度です。

これらは正社員だけの制度ではなく、パート等の有期雇用労働者も要件を満たせば対象になります。「自分は使えないだろう」と思い込まず、まず勤務先の育児介護休業規程を確認するか、人事・管理者に問い合わせることから始めてください。

3介護休業は「自分で介護する期間」ではなく「体制を整える期間」

介護休業の93日という日数を見て、「93日で介護が終わるはずがない」と感じた人は多いはずです。そのとおりです。介護は年単位で続くことが珍しくありません。ここで重要なのが、介護休業は自分が介護に専念するための期間ではなく、仕事と介護を両立できる体制を整えるための期間だという考え方です。これは厚生労働省も発信している、制度の本来の位置づけです。

体制づくりとは、具体的には次のようなことです。地域包括支援センターに相談し、要介護認定の申請を進める。ケアマネジャーと相談しながら、家族の状態に合った介護サービスの利用計画を立てる。家族・親族間で役割と費用の分担を話し合う。自宅の環境を整える。こうした立ち上げには、まとまった時間とエネルギーが必要です。3回まで分割できる仕組みは、「最初の立ち上げ」「状態が変わったときの体制見直し」「看取りの時期」など、節目ごとに使うことを想定した設計です。

介護職であるあなたは、この体制づくりの重要性を仕事として知っているはずです。利用者の家族に「1人で抱え込まないで、サービスを使ってください」と伝えてきたその言葉を、今度は自分に向ける番です。

なお、あなたの家族の介護サービスの選択や施設・事業所の検討は、この記事の範囲を超える領域です。お住まいの地域の地域包括支援センターが公的な相談窓口になりますので、まずそこに相談してください。介護のプロとしての知識は、専門職との相談を円滑にする強みとして活かし、判断と調整の主担当は外部の専門職に委ねる——それが、働き続けるための現実的な設計です。

42025年改正を味方にする:「職場に伝える」ことが支援の入口になった

家族の介護と仕事の両立をめぐっては、2025年4月施行の育児・介護休業法改正で、働く側にとって重要な変化がありました。介護離職の防止が明確な政策目標として打ち出され、事業主の義務が強化されたのです。

柱は次のとおりです。第一に、個別周知・意向確認の義務化。労働者が家族の介護に直面した旨を申し出たとき、事業主は介護休業や両立支援制度について個別に周知し、利用の意向を確認しなければならなくなりました。第二に、早期の情報提供。介護に直面する前の段階(40歳到達時等)での制度の情報提供が事業主に義務づけられました。第三に、雇用環境の整備。研修や相談窓口の設置など、制度を利用しやすい環境づくりが求められています。あわせて、介護のためのテレワークの導入も事業主の努力義務になりました。

この改正が意味するのは、「家族の介護が始まったことを職場に伝える」という行為の位置づけが変わったということです。以前は「言い出しにくい個人的事情」でしたが、今は伝えれば事業主に制度の説明義務が発生する、支援の正式な入口です。

伝えるタイミングは、早いほど選択肢が多くなります。「親の様子が変わってきて、近く介護が必要になりそうだ」という段階で管理者に一報を入れておけば、シフトの組み方や急な休みへの備えを職場側も考え始められます。限界まで隠して突然「介護離職します」となるのが、本人にとっても職場にとっても最も損失の大きい展開です。介護の始まりは多くの場合突然ですが、職場との共有は段階的にできます。

5介護職特有の落とし穴:「プロだから自分でできる」が招く共倒れ

介護職が家族の介護に直面したとき、一般の人にはない強みと、特有の落とし穴があります。

強みは明らかです。介護の技術がある、制度の知識がある、専門職との会話がスムーズ、家族の状態変化に気づける。しかし、この強みがそのまま落とし穴になります。

「自分でやれてしまう」から抱え込む。移乗も排泄介助も食事介助もできるあなたは、外部サービスを入れなくても回せてしまいます。しかしそれは、仕事で8時間介護をした後に家で介護を続け、休日も介護をするという生活です。仕事なら休憩があり、交代があり、チームがあります。家族介護にそれを整えなければ、身体と心が持たないのは専門職として知っているはずです。

「家族だから」感情が絡む。仕事では冷静に対応できる場面でも、相手が親だと苛立ちや悲しさが先に立つ——これは介護職が家族介護で最もよく語る戸惑いです。プロの自分と家族の自分は別であっていい、と最初から認めておくことが、自分を責めない土台になります。

周囲が「あなたなら大丈夫」と思ってしまう。親族も職場も、「介護の専門家だから任せて安心」と、あなたへの依存を無意識に強めがちです。役割分担の話し合いでは、「自分は専門知識で調整役を担うが、実働と費用は分担する」という線引きを意識的に主張してください。

対策はシンプルで、利用者の家族に勧めていることを自分にも適用することです。地域包括支援センターに相談する、ケアマネジャーを信頼して任せる、使えるサービスを使う、そして自分の休息を確保する。あなたが倒れれば、家族の介護も仕事も両方が止まります。

6職場との両立設計:シフト・夜勤・急な呼び出しへの備え

制度と外部の支えを整えたら、日々の働き方の設計です。交代制で働く介護職ならではの論点を整理します。

夜勤との両立。家族の状態によっては、夜間に家を空けることへの不安が大きくなります。深夜業の制限の請求、夜勤回数の調整、日勤中心のシフトへの変更を、状態に応じて職場と相談してください。「夜勤を減らすと収入が減る」という現実もあるため、時短や夜勤調整による収入変化と、介護休業給付金などの制度を合わせて、家計の見通しを立てることも大切です。

急な呼び出しへの備え。家族の体調急変やサービス事業者からの連絡で、勤務中に対応が必要になることがあります。介護休暇の時間単位取得はこうした場面で使えます。あわせて、職場には「どんな場合に連絡が来る可能性があるか」を事前に共有しておくと、いざというときの調整が滑らかになります。

シフトの安定性の確保。ケアマネジャーとの定期面談やサービスの曜日が決まっている場合、その曜日・時間帯を固定したシフトにできないか相談する価値があります。毎月の希望休で調整するより、恒常的な予定は契約やシフトの基本形に組み込むほうが、双方の負担が減ります。

伝え方の例。「父の介護が始まり、毎週水曜の午後にケアマネジャーとの調整があります。水曜は日勤を外していただくか、半日の休暇で対応したいです。夜間の急変時には連絡が入る可能性があります」——事実・必要な配慮・想定されるイレギュラーの3点セットで伝えると、職場は対応を設計しやすくなります。あなたの職場も介護の現場です。介護の大変さへの理解は、他業種より得やすい環境のはずです。

7転職・退職を考える前に:介護離職の重さと、次の職場の選び方

両立がつらくなると、「いっそ仕事を辞めて介護に専念しようか」という考えがよぎります。ここは立ち止まって考えたい分岐点です。

国が介護離職の防止を政策目標に掲げているのは、離職が本人に与える影響が大きいからです。収入が途絶えること、社会とのつながりが細くなること、介護が終わった後の再就職のハードル、そして介護に専念することで かえって心理的に追い詰められる場合があること。介護職のあなたなら、「介護者自身の生活を守ることがケアの持続につながる」ことを、仕事の経験から知っているはずです。

それでも今の職場での両立が難しい場合、退職の前に転職を検討するのが現実的な順番です。介護職は求人の選択肢が広く、日勤のみ・夜勤なし・曜日固定・短時間といった、介護と両立しやすい条件の求人が存在します。同じ法人内での異動(夜勤のない部署・業態への異動)が可能な場合もあります。

転職先を選ぶ際の確認ポイントは、①介護休業・介護休暇の利用実績があるか、②シフトの融通(曜日固定・急な休みへの対応体制)、③通勤時間(家族の状況に対応しやすい距離か)、④2025年改正への対応状況(面接で「家族の介護と両立している職員の方はいますか」と聞くと姿勢が見えます)。

介護おしごとさーちでは、勤務時間帯や日数などの条件で求人を絞り込めます。「辞めるか、続けるか」の二択ではなく、「どんな条件なら続けられるか」から逆算して選択肢を広げてください。判断に迷うときは、地域包括支援センター(介護の体制について)と総合労働相談コーナー(仕事との両立について)という公的な相談先があります。

8まとめ:仕事で実践している「チームケア」を、自分の人生にも

家族の介護と介護職の両立について、制度・考え方・職場との調整・転職の視点を整理してきました。要点をまとめます。

第一に、育児・介護休業法の制度(介護休業93日・3分割、介護休暇の時間単位取得、勤務時間の短縮等の措置、残業・深夜業の制限)を知り、勤務先の規程を確認すること。第二に、介護休業は「自分で介護する期間」ではなく「体制を整える期間」であり、家族のケアマネジメントは地域包括支援センター・ケアマネジャーという外部の専門職に相談すること。第三に、職場には早めに伝えること。2025年改正により、伝えることが制度の個別周知という支援の入口になりました。第四に、「プロだから自分でできる」という抱え込みが最大の落とし穴であり、利用者の家族に勧めていることを自分にも適用すること。そして第五に、限界が来る前に、働き方の調整や転職という選択肢で「続けられる形」を探すこと。

介護の仕事をしているあなたは、介護が長い道のりであること、支える側の生活が守られてこそケアが続くことを、誰よりも知っています。その専門性を、どうか自分自身と家族のためにも使ってください。1人でチームの全ポジションを担う必要はありません。制度・職場・地域の専門職・親族——使える支えを組み合わせて、あなたの仕事と生活の両方が続く形を作っていきましょう。

FAQ

このガイドのよくある質問

A.

介護休業は、要介護状態の対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限に分割して取得できるまとまった休業で、介護の体制を整える期間として使うのが本来の位置づけです。雇用保険の介護休業給付金の仕組みもあります。介護休暇は年5日(対象家族2人以上なら10日)まで、通院付き添いや手続きなどのために取得でき、時間単位の取得も可能です。ケアマネジャーとの面談など短時間の用事には介護休暇、体制の立ち上げには介護休業、という使い分けが基本です。

A.

介護休業は「自分が介護に専念する期間」ではなく「仕事と介護を両立できる体制を整える期間」と考えるのが制度の本来の位置づけです。要介護認定の申請、ケアマネジャーとの利用計画づくり、家族間の役割分担の調整など、立ち上げに集中して使います。3分割できる仕組みは、最初の立ち上げ・状態変化時の見直し・看取り期など節目ごとの利用を想定しています。日常の介護はサービスと家族の分担で回し、自分は働き続ける形を目指すのが現実的です。

A.

有期雇用やパートで働く場合も、要件を満たせば介護休業・介護休暇の対象になります。対象者の要件や労使協定による除外の有無は勤務先の規程によって異なるため、育児介護休業規程を確認するか、人事・管理者に問い合わせてください。2025年4月の法改正で、家族の介護に直面した旨を申し出た労働者への制度の個別周知・意向確認が事業主に義務づけられたため、「介護が始まった」と職場に伝えること自体が説明を受ける入口になります。

A.

お住まいの地域(親の居住地)の地域包括支援センターが公的な相談窓口です。要介護認定の申請からサービス利用の相談まで、無料で相談できます。介護職であっても、自分の家族のケアマネジメントを1人で担うのは共倒れのもとです。専門知識は相談を円滑にする強みとして活かし、調整の主担当はケアマネジャーなど外部の専門職に委ねることが、働き続けるための現実的な設計です。本サイトは求人情報のサービスのため、介護サービスの選び方自体は専門窓口にご相談ください。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。

  • 厚生労働省『育児・介護休業法について』

    介護休業(通算93日・3回分割)、介護休暇(年5日・時間単位取得)、所定労働時間の短縮等の措置、残業・深夜業の制限、2025年4月施行の介護離職防止のための個別周知・意向確認義務化などの一次情報ポータル。

  • ハローワークインターネットサービス

    介護休業給付金(雇用保険)の手続き・支給要件の確認先。介護と両立できる条件での求人検索・相談も可能。

  • 地域包括支援センター(各市区町村)

    家族の介護そのものに関する公的相談窓口。要介護認定の申請、介護サービスの利用相談など。所在地は市区町村の窓口・公式サイトで確認できる。

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