小学校3年生修了までの子どもについては、子の看護等休暇(年5日、対象の子が2人以上なら年10日)を取得でき、時間単位での取得も認められています。2025年4月の改正で、看護だけでなく学級閉鎖対応や行事参加にも使えるようになりました。有給か無給かは勤務先の規程によるため、年次有給休暇との使い分けも含めて職場に確認してください。急な取得時の連絡手順も、入職時に確認しておくと安心です。
子育て中に介護職で働くポイント|使える制度と職場の見極め方
- 作成日
- 2026年7月7日
- 最終更新日
- 2026年7月8日
子育てしながら介護職で働くための実務ガイド。育児休業・短時間勤務・子の看護等休暇など使える制度の全体像と、急な休みへの職場のカバー体制の見極め方、求人票の見方、面接での聞き方の例まで解説します。
1結論:制度を知ることと、職場の運用を確かめることの両輪で考える
子育てをしながら介護職で働けるかどうかは、「制度」と「職場の運用」の2つで決まります。制度の面では、育児休業や短時間勤務、子の看護等休暇など、法律に根拠のある仕組みが年々拡充されており、介護職ももちろん対象です。一方で、交代制シフトで動く介護の現場では、子どもの急な発熱で休むときに誰がカバーするのか、時短勤務でシフトにどう入るのかといった運用の実態が職場によって大きく異なります。制度は同じでも、働きやすさは職場次第というのが現実です。
だからこそ、子育て中の求職では「制度の全体像を正しく知る」ことと「応募先の運用実態を確かめる」ことをセットで進める必要があります。制度を知らなければ交渉も確認もできませんし、制度だけ知っていても運用が伴わない職場では消耗してしまいます。
この記事では、まず2026年7月時点で使える主な両立支援制度を子どもの年齢に沿って整理し、そのうえで、介護現場特有の「急な休みのカバー体制」「シフトの組み方」の見極め方、求人票の読み方、面接でそのまま使える質問例まで具体的に落とし込みます。なお、制度の内容は法改正で段階的に変わるため、実際の利用にあたっては厚生労働省の公式情報と勤務先の規程で最新を確認してください。また、介護おしごとさーちは求人情報の掲載・検索の場であり、特定の求人や働き方をおすすめするものではありません。比較・判断の材料としてお使いください。
2使える制度の全体像:子どもの年齢とともに変わる支援
育児と仕事の両立を支える制度は、子どもの年齢によって使えるものが変わっていきます。2026年7月時点の主な制度を、時間軸に沿って整理します。
妊娠・出産期には産前産後休業があり、その後は育児休業を取得できます。育児休業は原則として子が1歳になるまでで、保育所に入れないなどの事情がある場合は延長の仕組みがあります。父親向けには出生直後の時期に取得できる産後パパ育休(出生時育児休業)もあります。
子が3歳になるまでは、1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含む短時間勤務制度を事業主が設けることが義務づけられています。小学校就学前までは、残業免除(所定外労働の制限)を請求でき、2025年10月からは3歳から就学前の子を育てる労働者向けに、短時間勤務やテレワーク、始業時刻の変更などから事業主が2つ以上を用意する柔軟な働き方を実現するための措置も始まりました。
さらに小学校3年生修了までは、子の看護等休暇を取得できます。2025年4月の改正で対象年齢が拡大され、病気やけがの看護だけでなく、感染症に伴う学級閉鎖への対応や入園式・卒園式・入学式といった行事参加にも使えるようになりました。
これらの制度には、勤続期間などの条件や労使協定による除外が設定されている場合があります。自分が使えるかどうかは、勤務先の育児介護休業規程と厚生労働省の公式情報で必ず確認する、という前提で全体像を頭に入れておきましょう。
3子の看護等休暇を実務で使う:急な発熱と学校行事への備え
子育て中の介護職にとって、最も出番が多い制度が子の看護等休暇です。子どもの急な発熱や通院、予防接種、そして2025年4月からは学級閉鎖対応や行事参加まで、使える場面が広がりました。
付与日数は年5日(対象の子が2人以上なら年10日)が基本で、時間単位での取得も認められています。「午前中だけ通院に付き添って午後から出勤する」といった柔軟な使い方ができるのは、シフトで動く介護職にとって実務上の大きな意味があります。
ただし、実際に使いやすいかどうかは職場の運用次第です。確認しておきたいのは3点あります。第一に、有給か無給か。子の看護等休暇を有給とするか無給とするかは事業者の規程によります。無給の場合、休んだ分だけ収入が減るため、年次有給休暇との使い分けを考えることになります。第二に、申請の手順。急な発熱時に電話連絡だけで取得できるのか、事後の書類提出が必要なのかは職場ごとに違います。第三に、取得の実績。制度はあっても「実際に使っている人がいるか」で職場の空気は大きく変わります。
面接の段階で「子の看護等休暇を使っている方はいらっしゃいますか」と聞くことは、決して失礼ではありません。むしろ、入職後に確実に起きる事態(子どもの体調不良)への備えを確認する、誠実な質問です。この質問に具体的な運用で答えられる職場は、子育て中のスタッフの受け入れ経験が豊富だと考えられます。
4介護現場特有の論点:急な休みを「誰がカバーするか」
子育てと介護職の両立で最大の不安は、「子どもの急な発熱で休んだら、現場に迷惑がかかるのではないか」ということではないでしょうか。介護の現場は人員配置が決まっており、1人欠けるとその日のシフトに直接影響します。この不安への答えは職場のカバー体制にあり、ここが職場によって最も差がつくポイントです。
カバー体制が整っている職場には、いくつかの共通点があります。人員に余裕を持たせたシフト設計をしている、急な欠員時の応援ルール(他フロアからの応援、管理者が入る、オンコールのパート職員がいる等)が決まっている、そして子育て中のスタッフが複数在籍していて「お互いさま」の文化がある、といった点です。逆に、常に人員ぎりぎりで回している職場では、制度上は休めても心理的に休みにくく、両立が長続きしにくい傾向があります。
職場のカバー体制は求人票にはほとんど書かれていないため、面接と見学で確かめるしかありません。「お子さんの体調不良で急に休む方が出たとき、現場はどのように回していますか」と、仕組みを尋ねる形で質問してみてください。「みんなで助け合っています」という抽象的な回答か、「早番を遅番に振り替えて、足りない分は主任が入ります」のような具体的な回答かで、実態の整い方が見えてきます。
また、自分自身も「休む側」だけでなく「カバーする側」に回る場面があることは、両立を続けるうえで意識しておきたい点です。お互いさまの関係は、双方向だからこそ機能します。その意味でも、子育て中のスタッフが複数いて、カバーの負担が特定の人に偏らない規模・体制の職場を選ぶことが現実的です。
5託児支援・保育との組み合わせ:福利厚生欄の読み方
介護事業者の中には、子育て中の人材を確保するために保育面の支援を用意しているところがあります。求人票の福利厚生欄で見かける主な形は次のとおりです。
企業内保育・提携保育施設:施設内や近隣に保育所を設置・提携している形です。通勤と送迎が一度に済む利点があります。確認したいのは、利用できる子どもの年齢、定員の空き状況、保育時間が自分のシフト(早番・遅番)と合っているか、利用料の負担です。
保育料の補助:認可外保育やベビーシッター利用への補助を出す事業者もあります。補助の条件と上限額を確認しましょう。
「柔軟な働き方措置」としての保育支援:2025年10月に始まった柔軟な働き方を実現するための措置の選択肢には、保育施設の設置運営等も含まれています。応募先がどの措置を選んでいるかは職場ごとに異なるため、「3歳以降の柔軟な働き方の措置は何を用意されていますか」と確認すると、制度対応の姿勢そのものも見えてきます。
注意したいのは、保育支援の記載が「あること」と「自分が使えること」は別だという点です。定員や対象条件で実際には使えないケースもあるため、内定前に具体的な利用条件を確認してください。また、保育支援がない職場でも、シフトの融通や急な休みへの理解といった運用面が整っていれば両立は十分成り立ちます。福利厚生の見栄えだけで判断せず、前節のカバー体制とあわせて総合的に見ることが大切です。
6働き方の組み立て:時間帯・業態・雇用形態の選び方
子育て期の介護職には、制度の利用と並んで「そもそもどんな枠で働くか」という設計の自由度があります。介護業界は業態と時間帯の選択肢が広く、これは子育てとの両立において大きな強みです。
時間帯で選ぶ:保育園の開所時間に合わせて「9時〜16時」のような日中の枠で働く形は、短時間パートの定番です。夜勤のない働き方を軸にするなら、日勤のみ・夜勤なしの求人に絞って探す方法もあります。
業態で選ぶ:デイサービス(通所介護)のように営業時間が日中に限られる業態は、勤務時間が子どもの生活リズムと重なりやすい構造があります。ただし、業態だけで「子育て向き」と決めつけるのは早計です。同じ業態でも土曜営業の有無や行事の負担は事業者ごとに異なるため、個別の求人票で確認してください。
雇用形態で選ぶ:子どもが小さい間はパートで時間の裁量を確保し、成長に合わせて勤務時間を増やす、正社員登用を目指す、といった段階的な設計が現実的です。在職中なら短時間勤務制度で正社員のまま時短にする選択肢もあります。扶養や社会保険の適用は制度改正が進行中の領域なので、勤務時間を設計する前に最新の情報を確認しましょう。
どの組み立てにも共通するのは、「いまの生活に合う形」と「数年後に移行したい形」を分けて考えることです。介護職は資格と経験が積み上がる仕事なので、子育て期に勤務時間を抑えても、キャリアの積み上げは続きます。目の前の両立と中期的なキャリアの両方を視野に入れて選んでください。
7求人票のどこを見るか:子育て両立の視点での5つの確認ポイント
子育てとの両立を前提に求人票を読むとき、次の5点に注目してください。
1. 勤務時間・シフト欄の具体性。「9時〜16時」「週3日から・時間帯固定可」のように、保育園の送迎と両立できる枠が具体的に書かれているか。「シフトによる」とだけある場合は、契約前にどこまで固定できるかの確認が必須です。
2. 子育て支援に関する記載。「子育て中のスタッフ活躍中」「学校行事に配慮します」といった文言は、受け入れ姿勢の表明として参考になります。ただしあくまで姿勢なので、面接で運用実態を確かめる前提で読みます。
3. 福利厚生欄の保育支援。企業内保育・提携保育・保育料補助の有無と、その利用条件。記載があれば、内定前に定員や対象年齢まで確認します。
4. 休暇制度の記載。子の看護等休暇や有給休暇について、取得実績や取得率まで書いている求人は、制度が機能している可能性が高い判断材料になります。
5. 職場の規模と人員体制。急な休みのカバーは、ある程度の人員規模があるほうが機能しやすい構造があります。求人票の「従業員数」や配置体制の記載も、カバー体制を推し量るヒントになります。
これらが書かれていない求人が悪いというわけではありません。書かれていない項目は「面接で確認するリスト」に変わる、という読み方をすることで、限られた面接時間を有効に使えます。
8面接・見学で聞くこと:そのまま使える質問例
子育て中であることを面接でどう伝えるか、迷う人は多いはずです。基本の考え方は、隠すのではなく、条件と備えをセットで具体的に伝えることです。「保育園のお迎えがあるため17時までの勤務を希望します。急な発熱時は病児保育と家族の協力でできる限り対応しますが、難しい日もあります」のように、制約と自分なりの備えを一緒に示すと、職場側も受け入れの判断がしやすくなります。
そのうえで、職場の実態を確かめる質問をします。
カバー体制について:「お子さんの体調不良などで急なお休みが出たとき、現場はどのように回していますか」「子育て中の方は何名くらい働いていますか」
制度の運用について:「子の看護等休暇や時短勤務を使っている方はいますか」「時短の場合、シフトはどのように組まれますか」「学校行事での休み希望は通りますか」
中期的な働き方について:「子どもの成長に合わせて勤務時間を増やしたい場合、相談できますか」「パートから正社員への登用実績はありますか」
見学の機会があれば、職員の年齢層と時間帯ごとの人数、交代時の引き継ぎの様子を観察しましょう。子育て世代のスタッフが実際に働いていて、引き継ぎが仕組みとして回っている職場は、急な休みにも対応できる土台があると考えられます。面接での回答が抽象的だった項目ほど、見学で自分の目で確かめることが大切です。
9まとめ:両立のしやすさは職場選びで決まる部分が大きい
子育てと介護職の両立は、根性や工夫だけで成り立つものではありません。法律上の制度という土台の上に、職場のカバー体制・シフト運用・お互いさまの文化が乗って、はじめて無理なく続けられます。制度は全国共通でも、運用は職場ごとに違う——だからこそ、両立のしやすさは職場選びで決まる部分が大きいのです。
実践の手順をまとめます。まず、子どもの年齢で使える制度の全体像を押さえる(この記事の前半)。次に、求人票で勤務時間の枠・子育て支援の記載・人員体制を確認する。そして面接で、カバー体制と制度の利用実績を具体的に質問し、見学で現場の空気を確かめる。この順番で進めれば、「制度はあるが使えない職場」を避けられる可能性が大きく高まります。
制度の内容は法改正で今後も変わっていきます。この記事は2026年7月時点の情報に基づいているため、実際の利用にあたっては厚生労働省の公式情報と勤務先の規程で最新を確認してください。個別の権利関係で困ったときは、都道府県労働局の相談窓口や総合労働相談コーナーに相談できます。
介護おしごとさーちでは、勤務時間帯や日数などの条件で求人を絞り込んで比較できます。子育ての生活リズムに合う枠の求人を探し、この記事の質問例を手元に面接へ臨んでみてください。焦らず、運用まで確かめてから決めることが、長く働ける職場との出会いにつながります。
FAQ
このガイドのよくある質問
1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含む短時間勤務制度は、3歳に満たない子を養育する労働者向けに事業主が設けることを義務づけられています。3歳から小学校就学前については、2025年10月から、短時間勤務・テレワーク・始業時刻の変更などから事業主が2つ以上を用意する「柔軟な働き方を実現するための措置」が始まっており、職場がどの措置を選んでいるかで使える内容が変わります。勤務先の規程と厚生労働省の公式情報で最新を確認してください。
勤務条件に関わる事情は、入職後に必ず表面化するため、面接の段階で条件と備えをセットで具体的に伝えることをおすすめします。「17時までの勤務を希望。急な発熱時は病児保育と家族の協力で対応するが、難しい日もある」のように示せば、職場側も受け入れ体制を判断できます。子育て中のスタッフの受け入れ経験が豊富な職場ほど、こうした率直な対話を歓迎する傾向があります。合わない職場を面接段階で見極められたと考えることもできます。
育児・介護休業法には、小学校就学前の子を養育する労働者が請求した場合の深夜業(22時〜5時)の制限の仕組みがあります。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合などの例外や対象者の条件もあるため、具体的な適用は勤務先の規程と厚生労働省の公式情報で確認してください。実務的には、採用段階で夜勤の有無を含む勤務条件を明確に合意しておくことが、入職後のすれ違いを防ぐ最も確実な方法です。
Sources
参照・確認する一次情報
制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。
- 厚生労働省『育児・介護休業法について』
育児休業、短時間勤務制度、所定外労働の制限、子の看護等休暇、深夜業の制限、2025年4月・10月施行の改正内容(柔軟な働き方を実現するための措置等)の一次情報ポータル。制度の対象条件・除外規定もここで確認できる。
- ハローワークインターネットサービス
求人検索のほか、子育てとの両立を含む働き方の相談ができる公的サービス。マザーズハローワーク等の子育て世代向け支援の入口。
総合労働相談コーナー(都道府県労働局)
両立支援制度の利用をめぐる個別のトラブル(制度を使わせてもらえない等)の相談先。各都道府県労働局・労働基準監督署内に設置。個別事案の判断は本記事ではなく公的窓口への相談を推奨。
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